ピュア・ストレージ・ジャパンは6月9日、記者会見を開催して、エンドユーザー向け年次イベント「Pure//Accelerate techfest22」で発表されたインフラのモダナイズを支える新しいモジュール型アーキテクチャ「FlashBlade//S」を紹介した。

製品名称は「Speed」「Simplicity」「Scalability」「Sustainability」の頭文字に由来するという。同社によると、2016年に発表した従来のFlashBladeと比較して約2倍の密度、性能、電力効率を実現したとしており、次世代機に相当するのだという。

  • FlashBlade//Sの提供を開始する

    FlashBlade//Sの提供を開始する

今回新たにデザインされたハードウェアはオールQLC(Quad Level Cell)を採用しており、Purity//FB4.0ソフトウェアによって、電力効率も改善しながらエクサバイト級のスケーラビリティと多面的な性能を実現するとしている。

また、同社が提供するサブスクリプションベースのサービス「Evergreen」を利用することで、同製品は無停止でのアップグレードが可能となるほか、データ移行も不要になるという。

FlashBlade//Sファミリーは、ギガバイト単価を重視したS200と性能を重視したS500の2つのモデルで展開される。S200から先行して提供を開始する予定だ。

  • FlashBlade//Sの2モデル

    FlashBlade//Sの2モデル

同社でFlashBladeのジャパン・テリトリー・マネージャーを務める関根悟氏は、「FlashBlade//Sはモダンアプリケーションの環境に適しているようにデザインされているので、AIや機械学習によるアナリティクス、IoTなどに利用できる」とユースケースを紹介していた。

  • ピュア・ストレージ・ジャパン FlashBlade ジャパン・テリトリー・マネージャー 関根悟氏

    ピュア・ストレージ・ジャパン FlashBlade ジャパン・テリトリー・マネージャー 関根悟氏

また、同社はAIによるイノベーションを促すため、NVIDIAと共同で「AIRI//S」を発表している。同ソリューションはNVIDIA QuantumおよびSpectrumネットワーキング・プラットフォームを基盤とし、FlashBlade//SやNVIDIA DGXを搭載している。「AIRI//S」は迅速なデプロイメントが可能で、さまざまな規模のAIイニシアチブでニーズに合わせてシームレスな拡張を実現するとのことだ。

  • AIRI//Sの概要

    AIRI//Sの概要

記者会見では、同社はサブスクリプション・ベースのストレージ・プログラム「Evergreen」の拡充も紹介した。これまで提供していたEvergreen GoldおよびPure as-a-Serviceをそれぞれ「Evergreen//Forever」「Evergreen//ONE」と改称し、新たに「Evergreen//Flex」の提供を開始する。Evergreen//Flexはソフトウェアとサービスをピュア・ストレージが提供し、ハードウェアを自社で所有するクラウドとオンプレミスの利点を組み合わせたようなサービスだ。

  • Evergreen//Flexのイメージ

    Evergreen//Flexのイメージ

市場開発本部の本部長を務める藤井洋介氏は「『Evergreen//Flex』は、会計上どうしてもハードウェアを資産として持たなければならないが初期コストをあまり投資できないような場合に適している。ハードウェアを所有しながらもサブスクリプションモデルのサービスを利用したい企業の需要に応えるための新サービスだ」とコメントしていた。

  • ピュア・ストレージ・ジャパン 市場開発本部 本部長 藤井洋介氏

    ピュア・ストレージ・ジャパン 市場開発本部 本部長 藤井洋介氏

代表取締役社長である田中良幸氏は2023年3月期の第1四半期の決算ハイライトを語った。第1四半期は好調なスタートだったようで、前年度対比で売上高が50%増加し、非GAAPベースの営業利益は8500万ドルを達成している。

同氏は「当社のサービスはデータセンターのエネルギー使用量削減や電子廃棄物の削減など、お客様のESG(環境・社会・ガバナンス)に具体的に貢献できている。顧客満足度は85.2NPSを記録するなど、お客様には当社のサービスを評価いただいており、それが業績にも反映されたのでは」と決算を振り返った。

  • ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長 田中良幸氏

    ピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長 田中良幸氏