6月7日から10日まで東京ビッグサイトで開催されている食品関連の機械や装置に関する技術展示会「FOOMA JAPAN 2022」(国際食品工業展)で、THKは自社開発を行うAMR(自律走行搬送ロボット)や同社のロボット用モジュールを用いた「フライドポテト調理ロボット」などを紹介している。

THKといえば機械要素部品で知られる会社だが、同社が開発・設計・製造を行う搬送ロボットなども取り扱っている。同社では、2022年6月から「サービスロボット事業部」が新設され、今まで事業部ごとに取り扱っていたロボットを一括して販売することが可能となったという。

組み合わせで用途多彩なAMR「SEED-Mover」

「SEED-Mover」は同社が開発・設計・製造を行うAMR。SLAM(自己位置推定と環境地図作成)機能を持ち、ガイド無しで障害物を回避しながらの走行が可能だ。

  • SEED-Mover

    SEED-Mover

SEED-Moverは、工場の工程間搬送などへの使用も可能だが、ロボットの上に設置するものを変えることでさまざまな使い方ができるという。

昇降リフターを組み合わせた「Lifter付きSEED-Mover」は、搬送物の昇降などが可能。2020年7月には、JR高輪ゲートウェイ駅構内で飲み物を非接触で搬送する実証実験が行われた。

  • Lifter付きSEED-Mover

    Lifter付きSEED-Mover

また、サイネージを組み合わせ、広告掲示やフロア案内、検温モニターとして使うこともできる。サイネージロボットは、2022年3月には、和歌山県の南紀白浜空港で来訪者を目的地まで案内する実証実験をNECとともに実施した。

展示ブースでは、自律型除菌ロボット「Mover UV-C」の紹介も行われていた。同製品はSEED-MoverとPHILIPS製の紫外線の一種であるUV-C(紫外線C波)照射ライトを組み合わせたもの。壁や設備に付着する細菌やウイルスを除菌する作業を全自動で行うことができる。

  • Mover UV-C

    Mover UV-C

医療・介護施設や公共施設・教育機関、飲食店・ショッピングモール・ホテルなどに向けて販売が行われているようだ。

レイアウト変更に柔軟に対応する搬送ロボット「SIGNAS」

SEED-Moverは、マッピングや走行指示にプログラミングが必要なため、運用にはエンジニアといった専門職を必要とするが、もっと簡単にロボットを導入したいというニーズに向け、搬送ロボット「SIGNAS」も同社で開発を行っている。

  • SIGNAS

    SIGNAS

SIGNASはもともと建設現場といった、レイアウトが頻繁に入れ替わる現場での使用を想定して開発された。そのため、ルートテープを必要とせず、レイアウト変更に柔軟に対応が可能だ。

SIGNASは目印(サインポスト)を設置するだけで、内臓カメラで認識し、自律移動が可能となる。

  • SIGNASのサインポスト。「右に曲がる」や「止まる」など指示によってサインポストを変えて設置する

    SIGNASのサインポスト。「右に曲がる」や「止まる」など指示によってサインポストを変えて設置する

サインポストの作成にはプログラミングを必要としないため、エンジニアなどの専門職がいない現場でも導入が可能なのが特徴だという。また、看板など移動できるものにサインポストを貼ることで、レイアウトの変更の際は、その看板を動かすだけで走行ルートを変更できる。

THKでは現場のニーズに応じて、SEED-MoverとSIGNASを提案し分けているという。