研究の時期は2019年9月から2020年8月までで、対象は、重度なPMS症状による社会生活障害を自覚して産婦人科クリニックを受診した21名(PMDs群)と、中等度以上のPMS症状の自覚がなく健診などで受診した健常者22名(C群)。PMS症状は、PMSの重症度を調べる評価票「premenstrual symptoms questionnaire(PSQ)」を用いて評価が行われたほか、便検体を用いて次世代シーケンスメタゲノム解析を実施し、腸内フローラが解析されたところ、「(1)PMS患者と健常者は異なる腸内フローラを示す」、「(2)いくつかの腸内細菌が、PMS患者と健常者において、特徴的な分布を示す」、「(3)PMS症状の重症度といくつかの腸内細菌との相関性が認められた」、「(4)これらの特徴は、これまでのうつ病患者での報告とは異なるものである」といった4点が明らかとなったという。

今回の検討でPMSとの関連性が示唆された腸内細菌には、抗うつ作用が期待できる酪酸産生菌や、PMSの病態生理にも関連するとされる脳内神経伝達物質を産み出すGABA産生菌などがあるという。PMS患者ではこれらの腸内細菌の減少が認められており、腸内細菌とPMS発症の関連性が推測されるとする。

なお研究チームでは、今回の研究をきっかけとして、今後、PMS診断マーカーの開発や、食事療法、プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌)、プレバイオティクス(善玉菌のエサとなるオリゴ糖類や食物繊維類などの食品成分)といった、簡便で身体への負担が少ない治療法の開発が期待されるとしている。