東京大学、ソフトバンク、ヤフー、クリプタクトは5月20日、CT検査やMRI検査などの医用画像分野におけるAI(Artificial Intelligence:人工知能)開発および利用推進に向けて「医用画像通信技術研究組合」を設立したことを発表した。

同組合は経済産業省らが大学や企業などによる研究成果を迅速に事業化するために策定したCIP(Collaborative Innovation Partnership:技術研究組合)制度を活用した共同研究組織であり、東京大学やソフトバンクが設立したAI研究機関「Beyond AI 研究推進機構」の取り組みの一環として研究開発を進める。

医用画像を用いたヘルスケア領域では各疾患の診断支援などでAIの活用が期待される一方で、個人情報保護などの観点からAIの研究開発に必要な医用画像データが市場に十分に流通していない。そのため、研究開発機関や企業などによる高精度なAIの開発が困難とされている。

こうした状況に対して同組合は、患者の同意に基づいて医用画像データを取得してAIの教師データを作成し、AI開発に取り組む研究開発機関や企業へ提供するための医用画像運用プラットフォームの構築を目指す。さらには、そのために必要な医用画像の匿名化技術やブロックチェーン技術、教師データの作成技術などの研究開発も進める。

具体的には、患者が自身の医用画像データを自由に閲覧し管理できる専用のアプリケーションの提供と、匿名化した医用画像データを患者自身がプラットフォームにアップロードできる仕組みの構築に取り組む予定だ。

同組合はアップロードされた医用画像データからAIの教師データを作成し、研究開発機関や企業へ試験的に提供して、医用画像分野におけるAI開発に有用なデータであるかを検証するという。医用画像データの送受信においては、データを暗号化しながら正確な取引履歴の管理と大容量通信が可能なクリプタクトのブロックチェーン技術を活用することでセキュリティを担保するとのことだ。