日本語入力ソフトの機能はどんぐりの背比べ

現在主要な日本語入力ソフトウェアが提供している機能はよく似ている。もちろん、多少機能の違いはあるし、独自の機能もあるが、通常のユーザーが使う分にはそれほど違いには気が付かないと思う。

例えば、次のスクリーンショットはMicrosoft IMEの日本語で変換しているところだ。変換候補の同音異義語の意味が表示されていることがわかると思う。

  • Microsoft IME - 日本語による同音異義語の意味の違いの説明

    Microsoft IME - 日本語による同音異義語の意味の違いの説明

これはGoogle日本語入力も同じだ。次のスクリーンショットにおいても、同音異義語の意味が表示されている。

  • Google日本語入力による同音異義語の意味の違いの説明

    Google日本語入力による同音異義語の意味の違いの説明

まったく同じというわけではないのだが、どちらも同じような機能が提供されている。

似ている機能でも動作が異なることはある

ただし、同じような機能でも動きが異なる部分もある。例えば、次のスクリーンショットはGoogle日本語入力を使って「DDOS」と入力して「分散型サービス拒否攻撃(DDoS: Distributed Denial of Service attack)」と入力しようとしている場面だ。Google日本語入力では、このように大文字英字から日本語への変換をスムーズに行うことができる。

  • Google日本語入力による英字から日本語への変換サンプル

    Google日本語入力による英字から日本語への変換サンプル

これをMicrosoft IMEの日本語で行うと、次のようになる。

  • Microsoft IMEの日本語で同じように入力を試みる

    Microsoft IMEの日本語で同じように入力を試みる

  • Tabキーで探っていくと表示される

    Tabキーで探っていくと表示される

一見すると同じように動いているように見えるが、まずMicrosoft IMEの日本語では候補に「分散型サービス拒否攻撃(DDoS: Distributed Denial of Service attack)」が表示されていない。このため、ユーザーは「スペース」キーを押して候補に表示しようとする。しかし、それだと半角のスペースが入力されるだけで変換候補には表示されない。Google日本語入力では、「スペース」キーを押しても候補に出てくる。

Microsoft IMEの日本語では、先程の場面で「Tab」キーを押す必要がある。候補に表示されていないのに「Tab」キーを押すという動作は、Microsoft IMEの日本語入力でもGoogle日本語入力でも直感的な操作ではないので、Microsoft IMEの日本語のこの動きは扱いにくい。

なお、「DDOS」で「分散型サービス拒否攻撃(DDoS: Distributed Denial of Service attack)」と変換されるのはデフォルトの辞書には含まれていない。どちらの入力方式にもあとから単語登録したものだ。

どうにもならない違いもある

類似する部分が多い日本語入力ソフトウェアだが、どうにもならない違いも存在している。例えば、登録できる単語の長さだ。

次のスクリーンショットはMicrosoft IMEの日本語における単語の登録だが、この機能は本稿執筆時点では60文字までしか登録することができない。

  • Microsoft IME - 日本語の登録できる単語長は60文字まで

    Microsoft IME - 日本語の登録できる単語長は60文字まで

次のスクリーンショットは、Google日本語入力における単語の登録だ。こちらの単語登録は100文字が上限になっている。

  • Google日本語入力で登録できる単語長は100文字まで

    Google日本語入力で登録できる単語長は100文字まで

現在となっては60文字も100文字も短い。日本語入力システムは複雑ではあるものの強力な機能だ。日本語入力システムで登録できる単語長は作業効率に直結する。1000文字や2000文字といったより長い文字列の登録が可能になると日本語入力システム活用の幅はさらに広がるのだが、今のところ、この2つの入力方式においてその未来はなさそうなので、現状で工夫するしかない。

そうなってくると、60文字と100文字というのは大きな違いだ。組織名、正式名、住所といった長い情報を登録しておこうとすると、60文字は短いのだ。あとちょっとというところで上限になることがある。その点、100文字であれば登録できる対象が増える。