Appleが提供している「AirTag」は、バッグやキーホルダーなどに取り付けて、スマホなどのデバイスを使って所在を検出できるようにする電子タグデバイスである。このAirTagを悪用して第三者に対してストーキング行為を行う事件が発生しているとして、Malwarebytesが5月17日、「AirTag stalking: What is it, and how can I avoid it?」において、警告している。

AirTagをはじめとするトラッカー用の電子タグデバイスは、Bluetoothを利用してスマートフォンと接続し、スマートフォンの位置情報サービスと連携して移動履歴などを記録する。電子タグを付けた持ち物をなくした場合、持ち主はスマートフォンを使って電子タグが最後に記録された場所を調べることができる。

また、電子タグとスマートフォンとの接続が途切れた際に通知したり、スマホから電子タグに指示して音を鳴らしたりすることもできるようになっている。AppleのAirTagは、iPhoneに搭載された「探す」アプリと直接連携できる電子タグで、Appleの位置情報ネットワークを最大限に活用できるという強みがある。

AirTagストーキングは、自分のAirTagを第三者の車やカバン、コートのポケットなどにこっそり潜ませることで、標的となった人物の所在や自宅の場所、移動した履歴などを不正に把握しようとする行為である。アメリカの場合、すでに19の州でストーキング行為のための電子トラッカーの使用が法律で禁止されているとのことだが、報告された事例数は近年着実に増加しているとMalwarebytesの記事は伝えている。

このような不正な追跡のためのAirTagの悪用についてはAppleでも把握しており、その対策の強化を進めているという。現在のところ、Appleのサポートページには迷惑な追跡を検出・回避するためのするための対処法が掲載されている。

このページの「迷惑な追跡」の項目で説明されている方法を実施することで、自分のものではないAirTagが近くに検出された場合に通知を受け取ることができるようになる。

  • iPhoneの設定で「位置情報サービス」と「利用頻度の高い場所」をオンにすることで「探す」アプリで近くのAirTagを検出できるようになる

    iPhoneの設定で「位置情報サービス」と「利用頻度の高い場所」をオンにすることで「探す」アプリで近くのAirTagを検出できるようになる

身に覚えのないAirTagが見つかった場合、iPhoneの「探す」アプリを使ってそのAirTagの持ち主の情報を確認したり、位置情報のトラッキングを無効にしたりといった操作を行うことも可能になっている。