東京都立大学(都立大)は5月11日、相分離を利用することでCO2吸収速度の向上と反応系からの生成物の分離を実現し、ガス流通下でも400ppmのCO2を99%以上の効率で除去するDAC(Direct Air Capture:大気中からの直接回収)システムの開発に成功したと発表した。

同成果は、都立大大学院 理学研究科の山添誠司教授、同・藤木裕宇大学院生、同・天本和志大学院生、同・吉川聡一助教、京都大学 触媒・電池元素戦略拠点の平山純特定助教、都立大大学院 都市環境科学研究科の三浦大樹准教授、同・加藤玄大学院生、同・宍戸哲也教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、米国化学会が刊行する環境科学と技術に関連するすべての分野を扱うオープンアクセスジャーナル「ACS Environmental Au」に掲載された。

気候変動の主要因の1つとされるCO2は、増加傾向にあるといっても大気中では400ppmという非常に低い濃度のため、大気中からの直接回収は容易ではない。すでに複数の企業がそれぞれの方式でDACプラントを構築しているが、吸収効率や回収時のコスト面に課題があり、それらを克服した新しいプロセスの開発が求められている。

一般的にアミン(R-NH2)とCO2が反応すると、不安定なカルバミン酸(R-NHCOOH、アミンとCO2が1:1で反応)やカーバメートアニオン(R-NHCOO-、アミンとCO2が2:1で反応)が形成されることから研究チームは今回、CO2と反応することで“固体のカルバミン酸”を形成するアミン化合物に着目することにしたという。