IDC Japanは4月25日、国内法人向け5G市場予測を発表した。同社は2026年の同市場規模は1兆841億円になるとし、2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を54.3%と予測した。
なお同市場は、パブリック5Gとローカル5Gの両方を含む。また、5G対応デバイス、5G通信サービス、ローカル5Gインフラストラクチャ、および5Gによって可能になるIT関連のアプリケーションに対する支出を対象としている。
同市場の成長の最大の要因は、企業にすでに広く普及している4G以前の携帯端末および通信サービスの5Gへの移行が挙げられる。
デロイトトーマツミック経済研究所の調査によると、4大キャリアの2020年度の基地局を中心とする5G投資総額は、全設備投資額の16%を占める3,000億円弱だが、2021年度には同30%で5,870億円に達して、4G投資を逆転する見込みだという。
今後、さらに5Gサービスエリアの整備が進み、予測期間中盤には5Gが概ね全国で使える状況になることで、法人市場でも5Gへの移行が加速するとIDC Japanは予測する。
また、産業の現場でも5Gの導入が拡大するという。その主な要因として、映像中継、自律運転、画像AI分析などの分野での5G導入拡大、5Gソリューションの低価格化と関連エコシステムの成熟などが挙げられる。特に、ローカル5Gにかかるコストが低くなっていること、5G対応ゲートウェイや5G対応カメラなどのデバイスの拡充、自動車への5G搭載などが、成長を後押ししているとのことだ。
一方で、産業分野での5Gの普及には課題もある。2021年時点での取り組みは実証実験が中心で、企業の自前予算による商用導入は少ない状況だった。2022年以降、商用導入を増やすとともに、協創活動によるさらなるユースケースの開拓や関連ソリューションの開発などによって、5Gの導入機運を高めていく必要があると同社は指摘している。
IDC Japan コミュニケーションズ リサーチマネージャーの小野陽子氏は、「5Gソリューションを提供するITサプライヤーは、市場の裾野を広げるために、産業分野に多数存在する中堅からやや小規模な機器ベンダー、インテグレーター、輸入商社などに対しても、実証実験への参加を呼び掛けるべきだ」とコメントしている。