神戸大学は4月4日、ファイザー製新型コロナウイルスmRNAワクチン(Pfizer/BioNTech BNT162b2)の3回接種者の血清から、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロンBA.2株に対する中和抗体の有意な上昇を確認したことを発表した。

同成果は兵庫県ならびに神戸大学大学院医学研究科附属感染症センター臨床ウイルス学分野の森康子教授らの研究グループによるもの。

調査対象者となったのは、2021年6月から2022年1月にかけて、mRNAワクチンを3回接種した神戸大学医学部附属病院の医師(40名、中央値46歳)。2回接種後約7か月、および3回目(ブースター)接種後の血清中における新型コロナ オミクロンBA.2株に対する中和抗体の測定が行われた。その結果、ワクチン接種後約7か月の時点では、ほとんどの接種者がBA.2株に対する中和抗体がない、もしくは非常に低い抗体価しかないことが示された(平均中和抗体価は1.1)一方、ブースター接種後約2週間の時点では、BA.2株に対する中和抗体の有意な上昇が認められたという(平均抗体価も33.7)。

  • ブースター接種前後におけるBA.2株に対する中和抗体価の比較

    ブースター接種前後におけるBA.2株に対する中和抗体価の比較 (出所:神戸大Webサイト)

これらの結果について研究グループでは、新型コロナワクチンのブースター(3回)接種はオミクロンBA.1株と同様、BA.2株に対しても中和抗体を強く誘導することが示されたとしているほか、mRNAワクチンの追加免疫がSARS-CoV-2変異株に対する高い交差中和反応を誘導することを裏付けたものであり、今後BA.1株に置き換わり流行が危惧されるBA.2株の感染拡大を抑える上で、鍵であることを示唆していると説明している。

ただし、ブースター接種により獲得された中和抗体の持続に関しては不明であり、新規の変異株が出現する可能性も懸念されることから、引き続き、新型コロナの終息に向けて、ワクチン接種者の中和抗体の経時的変化を評価することが必要と考えられるともコメントしている。