日立製作所(日立)は4月1日、日立グループ全社のデジタル事業をグローバルで加速するため、同社のIoT基盤「Lumada」の中核を担ってきたITセクターを再編成することを発表した。同日より二つの組織を発足し、体制を強化する。

まず、グローバル市場に向けて、デジタル領域が急成長している北米を拠点に「日立デジタル」を発足する。エネルギー、交通、産業分野などの社会インフラ分野でのDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速するため、日立デジタルは、日立グループ各社との連携を強化する。

具体的には、エネルギー分野において、日立エナジー、日立ヴァンタラ、2021年7月に買収した米GlobalLogic(グローバルロジック)と連携し、デジタル技術を活用したインフラアセットの効率的な運用保守の提供や、グローバルロジックによるデザイン技術を活用したデジタル製品・サービス開発など、次世代グリーンデジタルインフラ事業の開発を進める。

また、モビリティ分野においても、欧州の電気バスにおける脱炭素化プログラムを通したゼロカーボンソリューション事業の推進に、グローバルロジックがデザインとデジタルエンジニアリング技術で貢献し、コアアプリケーションのアジャイル開発などに参画。これら進行中のプロジェクトを含め、今後も日立グループ横断プロジェクトを現地主導で事業化に向けてけん引する方針。

さらに、日本国内で成果を上げてきた顧客やパートナーとの協創プログラム「Lumada アライアンスプログラム」や、イノベーションの実現に向けたサービス・協創空間「Lumada Innovation Hub」、日立およびパートナーのデジタルソリューションや技術をつなぐ「Lumada Solution Hub」などのLumadaのプラットフォームやエコシステムをグローバルに展開していく。

もう一つは、日本市場を拡大させるために「GlobalLogic Japan(グローバルロジック ジャパン)」を設立する。日立の強固な顧客基盤とグローバルロジックのデザイン主導のデジタルエンジニアリングケイパビリティをもとに、Lumada事業の拡大と企業のDX推進を加速する。米国のグローバルロジックは、世界各地に展開されたデザインスタジオやエンジニアリングセンターで働く2万5,000人以上のデジタル人材を有し、400社以上の顧客を抱える。

今回新たに発足するグローバルロジック ジャパンでは、グローバルロジックと日立のセールス部隊が連携してチームを編成し、日本顧客に対してサービスを提案する。そして両社のデジタル人材が、上流プロセスから実行プロセスまでシームレスに協創を推進する。グローバルロジックのDXサービスを、日本特有のニーズにあわせた形で、短期間で提供する。

デジタル人材の育成においては、グローバルロジックが有する採用からプロジェクト配置まで機動的に必要な人材を投入できる独自のDX人材育成プログラムを活用する。日立とグローバルロジックの間で人材をローテーションさせることで人材育成の強化も図る。

2つの新たな組織により、日立は、日本国内におけるデジタルエンジニアリングのリーディングカンパニーを目指す。