LegalForceは3月28日、「育児休業取得に関する意識調査」の結果を公表した。2022年(令和4年)4月から段階的に施行される「育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下、育児・介護休業法)の改正を受けた調査である。
同調査には会社員および会社役員である男性1000人が回答している。なお、このうち718人が既婚であり、560人に子どもがいる。子どもがいると回答した人のうち、実際に育児休業を取得したのは33人だ。
今回の調査の結果、80.4%の人が「2022年4月からの育児・介護休業法の改正を知らない」と回答したことが明らかになった。
また、育児・介護休業法が改正されることを知っていると回答した196人のうち、「十分に理解している」と回答した人は35人(17.9%)にとどまり、109人(55.6%)が「なんとなく理解している」と回答した。
育児・介護休業法が改正されることを知っている196人のうち、137人(69.9%)が「法改正によって育児休業を取得しやすくなったと思う」と回答している。
調査に参加した全員が育児休業取得の対象者であると仮定した質問においては、1000人中264人が「育児休業を取得しない」と回答した。このうち、育児休業を取得しない理由として「収入を減らしたくない」(28.0%)、「会社で育児休業制度が整備されていない」(26.5%)とする回答が多かった。
実際に会社で育児休業を取得する際の、具体的な申請の流れを把握している人は1000人中210人だ。
どのような企業の取り組みがあると今よりも育児休業を取得しやすくなるかを聞くと、「代替人材の確保」「全従業員向け説明会の実施」が共に32.2%で最も高い結果となった。また、「経営層からの積極的なメッセージ発信」とする回答も26.35であり、企業が積極的に育児休業に関する説明を行っていない可能性がうかがえる。
同社は今回の調査結果を受けて、「4月の育児・介護休業法の改正では、会社に育休を取得しやすい雇用環境の整備などが義務付けられる。育休に関する取り組みが不十分な会社の人事部や法務部においては、特に管理職への研修の実施や、育休に関する相談窓口の設置などの対応を急ぐ必要がある」としている。
また、企業の経営陣は育休取得促進についての明確なメッセージを打ち出すとともに、労働者が育休を取得しやすくなるよう、代替人員の確保や、兼業・社内副業などの体制整備を進めるなどの取り組みを進めることが望ましいだろう。
さらに同社は「育児休業は、一定の要件を満たせばどんな会社でも男女問わず取得でき、会社は拒否できない労働者の権利だ。労働者は育児休業が『労働者の権利』であると理解し、休業の取得が会社によって妨げられた場合には、会社の相談窓口だけでなく、厚労省の総合労働相談コーナーや労働局などへ相談するなど、毅然とした対応をとることも必要」とコメントしている。