Unipos社は2月24日、旭化成ファーマが全従業員約1800名に対し、ピアボーナスサービス「Unipos」を導入したと発表した。

Uniposは、従業員同士が「貢献に対する称賛」と少額のインセンティブを送り合うウェブサービス。組織内の心理的安全性を高めることで、経営と現場、部署間、上司と部下間の関係性の質を改善し、離職予防や生産性向上をサポートするとしている。

新型コロナウイルス感染症への対策の一環として、多くの企業で在宅勤務制度が導入された。多様化する働き方の一つとして浸透した反面、「社内で起きていることが見えにくくなった」「コミュニケーションの分断が起きている」といった声を聞くことも少なくない。旭化成ファーマもその例外ではなく、コロナ禍で導入した在宅勤務制度により、コミュニケーションの質が低下するといった課題が生じていた。

もともと同社は、本社以外に工場や営業部門などが点在するため、部門間のコミュニケーションを重要視していたこともあり、課題の解消に向けて検討。従業員がモチベーション高く一体感を持って働ける環境を作るには、「企業理念の浸透~ミッション・ビジョン・バリュー~」「コミュニケーションの活性化~関係の質の改善と向上」「従業員エンゲージメントの向上~褒める・認め合う組織風土の醸成~」の3つの要素が必要だと考えた。

これらを実現するため、従業員間で行われる「良い行動」に対して感謝・称賛のメッセージを送ることができるUniposの試験導入を決定。社内での制度名を「Re:thanx」とし、全従業員1800名を対象に2021年4月から9月まで半年間の検証を行った。

試験導入にあたっては、トップから利用を促すメッセージの発信を実施。管理職向けには説明会を開催し、導入推進者としての役割を担ってもらったという。さらに「Re:thanx通信」という社内報を作成し、利用方法の案内や、社員から拍手が集まった投稿の紹介などをすることで利用を促進していった。

試験導入後のアンケートでは、企業理念を意識する機会について「増えた、少し増えた」と回答した従業員が約89%となった。Uniposには、投稿に行動指針を紐付けることができるハッシュタグ機能があり、行動指針に沿った行動に感謝・称賛が送られる投稿を日々目にすることが、企業理念の浸透を後押ししたと考えられるという。

また、85%以上の従業員が、自部署・他部署とのコミュニケーションがとりやすくなったと回答。Uniposでは全従業員が同じタイムラインを使用するため、拠点や部門を越えたコミュニケーションが増加したほか、デジタルに触れる機会が増えることで、社内で起きた良い事例の積極的な展開にもつながっているという。

さらに、モチベーションに関する設問では、仕事へのやりがいを感じる機会が増えたと答えた従業員が約87%に上り、旭化成グループ全体で実施する組織診断サーベイにおいても、上司・部下の関係や組織環境の数値が向上したとしている。

これらの結果から、旭化成ファーマはUniposの全従業員への導入を正式決定。2021年11月からの本導入に至った。導入開始直後の利用率は7割程度だったが、現在は月間で9割近い社員がRe:thanx(Unipos)にログインし、利用しているという。

同社は今後もRe:thanxの目的・意義浸透に向けた活動を継続すると共に、管理職に対する利用推進の意識付けや利用状況のモニタリングなどを定期的に実施することで、企業理念を体現した取り組みの共有を強化していくとしている。