日立製作所(日立)は2月24日、同社が提供するハイブリッドクラウドソリューション「EverFlex from Hitachi」において、ハイブリッドクラウド環境の可用性(システムを機器の故障などによって停止させることなく稼働し続ける能力)を向上する強化を行ったと発表した。

「EverFlex from Hitachi」は、As a Service型のクラウドソリューションとして、パブリッククラウドと企業内データセンターとのデータ連携を実現するもの。企業内システムでのクラウド活用や、企業内システムからクラウドへの移行、企業システムのクラウドネイティブ構築を支援するソリューションだ。

同ソリューションの中核となるのが、日立従量課金型データ基盤ソリューション。これは、ストレージやサーバー、関連クラウドサービスなどを、従量課金や月額課金などのサブスクリプション形式で、顧客ニーズにあわせて提供するもの。同社が強みにするストレージの仮想化技術などの適応範囲を企業内システムからパブリッククラウドにまで拡大させている。

  • EverFlex from Hitachiにおける今回の強化ポイント

今回の機能強化により、AWSへの接続の二重化によってパブリッククラウド環境の可用性が向上した。具体的には、Amazon S3とのデータ管理・運用において単一障害点(そこが停止するとシステム全体が停止してしまう部分)となる懸念があった、Amazon S3への接続を二重化した。Amazon S3に格納したデータは、バックアップ用途に加え、Amazon EC2からも利用することもできるため、クラウドサービスの選択肢が広がったとしている。

また、データ基盤の導入を支援する「Hitachi Virtual Storage Software (VSS) スタートパック」、データ基盤の故障予兆を監視する「高度予防保守」、処理性能の向上とデータの効率的な保管を両立する新ミッドレンジストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform (VSP) E1090」の提供も開始。

「VSSスタートパック」は、日立ソフトウェア・デファインド・ストレージ「Hitachi Virtual Storage Software Block(VSS Block)」の導入に必要なハードウェア、ソフトウェア、およびサービスをパッケージ化したもの。導入に伴う機器選定や要件定義を最小限にし、利用開始までの期間を短縮できるとしている。

「高度予防保守」に関しては、データ基盤の稼働状況をリアルタイムにリモート監視を行い、日立のハードウェア製品開発のノウハウに基づいた故障予兆検知を実行する。データ基盤の故障を事前に察知し、メンテナンスを適切なタイミングで提案する。今後、監視対象の拡張やAI(人工知能)の利用により、故障予兆精度のさらなる向上を目指す。

「VSP E1090」は、日立独自の重複排除・圧縮技術で、圧縮時の処理性能を従来機に比べ約39%向上したという。また、同技術でストレージ記憶媒体の容量効率も高めることで消費電力を約53%低減するとのこと。

さらに同ソリューションは、今回のアップデートにより、CO2排出量の見える化による環境配慮への取り組みも強化させた。ハイブリッドクラウド環境のデータ基盤におけるデータ送受信時などに排出されるCO2排出量を見える化し、経時変化や一定期間の累積排出量を専用ポータルで確認できるようになった。