福井大学医学部 感覚運動医学講座 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 講師の坂下雅文氏は2月17日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によるマスク着用によって小学生の新規スギ花粉症患者が半減したことを確認したことを明らかにした。

2019年の全国スギ花粉症疫学調査では、10才から60才までの年齢でほぼ半数の人がスギ花粉症を発症しており、有病率は0-4才で3.4%であったものが5-9才では30%、10-19才では49.5%となっていた。

5-9才でスギ花粉症患者が増えるのは、小学生になり登下校などの屋外行動が増加することが一因とみられるという。

坂下氏は記者発表で「スギ花粉症は発症してしまうと自然に治るのは、約13%にとどまってしまう。このため、5-9歳のスギ花粉症患者の新規発症率の高い時期に予防することが重要で、マスク着用が有用だと考えていた」とした。

そこで、研究チームは2020年からのCOVID-19の流行でマスクを着用する習慣がついたことから、スギ花粉症未発症者の新たな発症を予防できるのではないかと仮説を立て、調査を行った。

研究チームは、福井大学を中心にその他の大学、小学校、福井県などと調査体制を整備し2021年の6月から7月にかけて、福井県全県約4万人の小学生を対象にその保護者へWebまたは記入式のアンケート調査を実施。

  • 調査用紙

    調査用紙(提供:福井大学)

計2万2,081人の回答を解析した結果、小学生におけるスギ花粉症新規発症率は1.4%と、それ以前の平均新規発症率の3.1%に対して半分に減少していたことを確認したという。

また、スギ花粉症の既発症者では24.4%が以前と比較して楽になったと回答。調査では花粉症以外のアレルギー症状に関しても回答を取得しており、気管支喘息に関しても25.9%が症状が緩和したと回答したという。

しかし、アトピー性皮膚炎に関しては緩和したという回答よりも増悪したという回答のほうが多くなっていた。

坂下氏は「上気道疾患はマスクによる効果で疾患が軽快したことが考えられるが、皮膚疾患は増悪しておりこれもマスクが一因になっている可能性が考えられる」とした。

一方で、「マスクによって軽減したとみられる症状はあるが、マスクの弊害として、コミュニケーションの低下には注意が必要だと考えている」と表情が見えないことによるメンタル面での影響を懸念した。

研究チームは、この結果をうけ、マスク着用によるスギ花粉症発症予防の有用性を啓発する予防教育の啓発を進めていきたいとしている。