国立感染症研究所(NIID)治療薬・ワクチン開発研究センター 第四室 主任研究官の上滝 隆太郎氏らの研究チームは2月6日、mRNAワクチンを2回接種後に、SARS-CoV-2オミクロン株に対して中和活性を有する抗体が記憶B細胞に保存されていることを確認したことを発表した。
なお、同研究は学術誌「Science Immunology」のオンライン版に2月3日付で掲載された。
オミクロン株は多くのアミノ酸変異によりmRNAワクチン2回接種後に誘導される血液抗体から強く逃避することが知られているが、3回接種やブレークスルー感染後の血液にはオミクロン中和抗体が誘導されることが報告されている。
同研究では、mRNAワクチン2回接種後に誘導された記憶B細胞を取り出し、この細胞に保存されている抗体を解析。すると、中和活性をもつ抗体のうち、約30%の抗体がオミクロン株への中和活性を保持していることが確認されたという。
このことから研究チームは、ワクチン3回接種やブレークスルー感染後には、これら記憶B細胞が反応してオミクロン株に対する中和抗体を血液中に産生する可能性が示唆されるとしている。