日立ビルシステムと大日本印刷(DNP)は1月31日、共同でエレベーター向けのデジタルサイネージ(電子看板)事業を開始すると発表した。マンションやオフィスビルなどのエレベーターにデジタルサイネージを設置し、利用者の属性に合わせて広告や有用な情報を配信する。6月1日から日本国内で提案を開始する。

  • エレベーター内のデジタルサイネージ(左)、配信コンテンツのイメージ(右)

富士キメラ総研によると、日本国内のデジタルサイネージ広告市場は、2020年の525億円(見込み)から2026年には1,400億円に伸びると予測されている。その中で、デジタルサイネージの設置場所として新たに注目されているのがエレベーターだ。エレベーター内は、利用者の注視率が高く、利用者属性に応じた広告配信が可能。日本エレベーター協会によると、日本全国で77万台以上のエレベーターが稼働しており、潜在的な市場規模も大きいことから、今後の需要拡大が見込まれている。

今回、両社が展開するエレベーター向けデジタルサイネージは、画面を見る人の外見上の特徴から、ある程度の年齢・性別などの属性を推定するセンシング機能を持つカメラが備わっている。センシングしたデータは個人を特定することなく蓄積・分析して、エレベーター利用者に適した広告や有用な情報を配信する。

デジタルサイネージ用コンテンツの管理・配信についてはDNPのシステムを利用する。遠隔操作が可能で、データ更新時にも画面表示に反映することが可能。また、アカウントごとにさまざまな設定ができるため、設置場所や利用者層に合わせて、各種広告のほか、日付・天気予報・ニュース・占い情報などのコンテンツを配信することができるとのこと。

同事業は広告収入を中心とし、日立ビルシステムがマンションやオフィスビルなどに貸し出す形で、デジタルサイネージ機器を設置する。マンションやオフィスビルなどのオーナーは、導入・運用コストを負担することなくデジタルサイネージを導入し、建物の価値向上を図ることができる。

両社は今後、日立ビルシステムと保全契約を結んでいるエレベーターが設置されているマンション、オフィスビル、商業施設、公共機関などにエレベーター内デジタルサイネージを提供し、2023年度末までに5,000台の導入を目指す。