大阪大学(阪大)は12月2日、新方式「マイクロチューブ爆縮」を使ってブラックホールや中性子星の磁場強度に匹敵するメガテスラ級の極超高磁場が生成され時間発展してゆく様子を、阪大サイバーメディアセンターのスパコン「OCTOPUS」を使った3次元シミュレーションによって検証することに成功したと発表した。
同成果は、阪大 レーザー科学研究所(ILE)の村上匡且教授らの研究チームによるもの。詳細は、高エネルギー密度物理学や高出力レーザーなどを扱った学術誌「High Power Science and Engineering」に掲載された。
今回の研究成果は、村上教授を中心とした日米欧の国際共同研究チームが、2020年10月に発表したマイクロチューブ爆縮によるメガテスラ級の極超高磁場を生成させる新たな物理機構について、シミュレーションを用いて確認したものだという。
この物理機構は、直径5~10μm程度の円筒中空体の外側から超高強度レーザーを照射することで、5~10MeV程度のエネルギーを持つ高速電子を発生させるというもの。結果として、ブラックホールや中性子星の近傍で観測されるものと推測されるレベルのメガテスラ級の磁場が実験室においても再現できることが、今回のコンピュータシミュレーションから期待されるとしている。
なお、村上教授は今回の成果に対し、「メガテスラという地上では到底実現され得ないと思われていた極超高強磁場が、今日のレーザー技術を使って可能であることが今回のスパコンを使った3次元計算から示された。現在、阪大ILEの超高強度レーザー「LFEX」を使った実験を進めている」とコメントしている。