米製薬大手メルクと米ベンチャー企業リッジバック・バイオセラピューティクスは11月26日(米国時間)、新型コロナウイルス感染症の経口抗ウイルス薬として開発中の「モルヌピラビル(MK-4482、EIDD-2801)」の評価のために行っているMOVe-OUT試験の追加解析結果を発表した。
これは、試験に登録した全被験者(1433例)のデータが出そろったためで、この試験対象集団において、入院または死亡のリスクはプラセボ群では9.7%(699例中68例)だったのに対し、モルヌピラビル群では6.8%(709例中48例)に低下、絶対リスク減少率は3.0%(95%信頼区間[CI]:0.1,5.9、名目上のp値=0.0218)、相対リスク減少率は30%(相対リスク0.70、95% CI:0.49,0.99)となったという。また、死亡例はプラセボ群では9例、モルヌピラビル群では1例で、モルヌピラビルの有害事象プロファイルは中間解析で報告されたプロファイルと一貫していたという。
また、試験デザインに基づき、中間解析の段階で統計学的基準が満たされ有効性の確定評価は完了したと見なされ、外部のデータ監視委員会の推奨を受け米国食品医薬品局(FDA)の了承を得て被験者の登録は中止されたとするほか、メルクでは、中間解析と追加解析により、モルヌピラビルは重症化のリスクの高い軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の成人患者に対する治療薬としての効果と全般的に良好なベネフィット・リスクが支持されていると説明。すでにこの追加解析の結果をFDAに提出済みで、11月30日(米国時間)に開催されるFDAのAntimicrobial Drugs Advisory Committee(抗微生物薬諮問委員会)で提示される予定だとしている。
なお、すでに英国ではモルヌピラビルの使用許可が出ているほか、FDAが緊急使用許可(EUA)の申請の審査を進めている段階で、日本も薬事承認を得た後、という条件付きながら、政府とメルク・アンド・カンパニー(MSD)の間で約160万治療コース分の調達契約が締結済みとなっている。