モデルナは11月26日(米国時間)、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株オミクロン(B.1.1.529)の出現を受け、懸念される変異株への新たな対応策を発表した。

オミクロン変異株には、感染力を高めるとされるデルタ株にみられる突然変異と、免疫回避を促進するとされるベータおよびデルタ株にみられる突然変異が含まれているとされ、この突然変異の組み合わせは、自然免疫およびワクチン誘発免疫の衰退を加速する重大リスクの可能性を示唆するものだという。

そのため同社では、オミクロン変異株に対する現在のワクチンの有効性を確認する試験をすでに開始しており、今後数週間以内にその結果を発表する予定だとしている。

なお、仮に現在承認されている50μgの新型コロナワクチンの追加接種が、オミクロン変異株によって低下した免疫力を高めるには不十分であることが判明した場合に向けて、以下の3つの取り組みも進めているとしている。

1つ目は、健康な成人を対象にした新型コロナワクチンの高用量ブースター(100μg)の試験の実施。すでに306人の被験者への投与を完了しており、そうして高用量接種を終えた人間の血清で迅速に中和検査を行い、100μgの接種がオミクロンに対して優れた効果を示すか否かの検証を進めているとする。

2つ目は、オミクロン変異株にみられるような突然変異を予測するために設計された2つの多価ブースター候補の臨床研究を進めている点。最初の候補(mRNA-1273.211)は、ベータ変異株にみられたのと同じオミクロン変異株に存在するいくつかの変異を含んでおり、すでに50μg(N=300)および100μg(N=584)の接種による調査が進められているという。もう一方の多価候補(mRNA-1273.213)には、ベータおよびデルタ株にも存在したオミクロン株が持つ変異の多くが含まれており、こちらも100μg(N=584)の用量レベルでの投与を完了しているとするほか、約584人の参加者で50μgの用量レベルも試験する予定だとしている。

3つ目は、オミクロンに特化したブースター候補(mRNA-1273.529)の研究加速で、重大な懸念のある変異株のサブセットに対して変異株特有のブースター候補研究を前進させるという会社の戦略の一部として、ベータ株およびデルタ株向けブースターとして開発されたものだという。