凸版印刷は10月26日、自社工場において、排水の水位や水素イオン濃度などを始めとする環境データを自動収集するシステムを構築したことを発表した。同システムは、データ監視システムを保有するものの、環境データの収集に課題を抱える顧客に向けて販売を開始する。

同システムは、IoT向けの次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)規格ZETA(ゼタ)を活用したネットワークと各種センサー機器、測定したデータを格納するクラウド型システムプラットフォーム「ZETADRIVE」とデータ監視システムから構成される。

  • 凸版印刷の工場に構築された環境データ自動収集システム概念図

導入第一弾の工場においては、1000以上の点検項目の内、約10%についてセンサーをZETAネットワークに接続。工場排水の水位やpH値(水素イオン濃度)、ORP(酸化還元電位)などの情報の自動収集を開始しており、2022年度中に同工場のすべての環境データの収集を自動化する予定だ。

同社は同システムの導入により、自社工場の環境保全業務の負荷を約20%軽減できると見込む。業務負荷削減によって得られた人的リソースを能動的な環境保全活動に割り当て、工場全体のリスクマネジメント強化を図るという。

また、今回の取り組みに関連して同社は、すでに工場内で稼働している多数の測定器からの出力情報をデジタルデータ化し、ZETA通信のフォーマットで送信するためのデータ転送機器「ZETABOX」を新開発した。

  • ZETABOX

将来的には、針式のアナログメーターからのデータ自動収集化などを行うシステムの開発も進めており、収集したデータの分析やレポート生成などのシステムまで含めたトータルソリューション化を検討している。