弥生はパートナーである弥生PAP会員に向けて「弥生PAPカンファレンス 2021 秋」を開催している。オンラインは10月25日からで、リアル会場は、10月13日の名古屋を皮切りに、東京、大阪、福岡、広島、仙台、札幌と7会場で11月17日まで開催する。

「弥生PAP」とは、弥生と会計事務所がパートナーシップを組み、弥生製品・サービスを活用して、中小企業、個人事業主、起業家の発展に寄与するパートナープログラム。

このカンファレンスでは、2023年10月スタートのインボイス制度や2022年1月スタートの電子帳簿保存法改正への対応のほか、同社の新サービスについて説明している。

10月20日の東京会場(秋葉原)には、代表取締役社長 岡本浩一郎氏が登壇。

  • 弥生 代表取締役社長 岡本浩一郎氏

同氏は冒頭、「2021年度は大きな法令改正がなかったものの、順調に成長ができている(2021年度の売上は昨年度比で9.4億円の伸びで212.1億円)。デスクトップアプリとクラウドアプリの両輪でやっていることが、ユーザー数の順調な成長につながっている」と、自社の業績が堅調に推移している点をアピールした。

  • 弥生の売上推移

そして、今後は「法令改正対応&業務効率化」、「未来に向けたデジタル化」の両輪で着実に事業を推進していくとした。

最近はデジタルトランスフォーメーションがバズワードになっているが、同氏は、企業にはシステムの電子化ではなく、デジタル化が必要であると訴えた。両者の違いは業務のあり方も見直すかどうかだという。

  • 電子化ではなく、デジタル化が必要

岡本氏は、紙の電子化では業務は大きく変わらず、効率化にはならないとした上で、「電子帳簿保存法は電子化であって、業務効率化にはつながらない。行政にはメリットがあるかもしれないが、事業者にはメリットがなく、むしろ面倒になる」と電子帳簿保存法に対して否定的な意見を述べる一方、「インボイス制度は業務改革のきっかけになる」と、積極的に推進すべきという見解を述べた。

そのため同氏は、昨年の7月「電子インボイス推進協議会(EIPA)」を業界各社と共同で立ち上げ、今年の6月には、平井デジタル改革担当大臣(当時)に対して、「デジタル化による年末調整の新しいあり方に向けた提言」を提出した。

「デジタルを前提として、年末調整のしくみを根底から見直すべきだ、誰が、どんなタイミングで業務としてやっていかなければならないのか見直すべきだ。平井大臣からは、提言に対してぜひやっていきたいというお言葉をいただいた。行政の方にも前向きな反応をいただいている。今後も引き続き働きかけをしていきたい」(岡本氏)

電子インボイス推進協議会では。電子インボイス制度の標準仕様の策定・実証、さらに電子インボイスの普及を促進することを行っていくという。

「請求から支払いまで、データでやり取りする仕組みをつくる。それによって支払いの処理が自動化される、入金の消込が自動化されるといった業務効率化を実現したいと思っている」(岡本氏)

そして同社はインボイス制度に向け、証憑管理サービス(仮称)を来春提供する予定だ。このサービスは、さまざまな証憑を構造化されたデジタルデータで扱えるようする。また、弥生製品によるインボイスの発行、受領、保存の対応も行っていくという。

同社 マーケティング本部 望月氏は、2023年10月スタートのインボイス制度や2022年1月スタートの電子帳簿保存法改正について、「これまでの法令改正とは、インパクトがまったく異なる」と語った。

同氏はインボイス制度では、証憑発行、証憑送付/受領、証憑保存、仕訳、記帳の4つで影響を受けるとし、特に大きいのは証憑保存で、自社で発行した適格請求書の保存も必須となるとした。

  • インボイス制度の業務への影響

同社では、インボイス制度や電子帳簿保存法の改正に対して、製品で対応することと、業務支援の2つでサポートするという。

製品では、以下の図の日程で対応。業務支援では、それぞれのガイドブックを提供するほか、会計事務所が顧客に対する業務変更を説明する部分を支援する。

  • インボイス制度や電子帳簿保存法の改正への対応予定

また、これ以外の業務支援では、今年の11月に「資金調達ナビ」、12月に「税理士紹介ナビ」、来年3月には「起業・開業ナビ」、来年中に「事業承継ナビ」を展開する計画だという。

  • 業務支援のための4つの新サービスを今後展開