富士通は10月18日、日本経済新聞と共に、選挙に関する報道にデータ分析の視点を取り入れることを目的とした共同プロジェクトを開始すると発表した。

同プロジェクトでは、富士通のデータサイエンティストが、Palantir Technologies(アメリカ)のデータ分析ツールを用いて、日本経済新聞社の知見をもとに選定された選挙関連データや国勢調査データなどの公開情報を統合して、2つのテーマについてのデータ分析を2021年8月から10月に実施した。

1つ目のテーマは「地域特性による選挙の傾向および結果分析」であり、選挙区の地域特性が選挙結果に与える影響の分析だ。年齢や性別などの住民データや、人口の増減および経済指標に関するデータと過去の選挙結果を分析し、当該選挙区における住民の投票行動特性を把握するという。

2つ目のテーマは「議員属性による選挙の傾向および結果分析」であり、選挙当選者の特性から、候補者の属性、世襲候補、年齢、選挙資金など、選挙に当選する要因の探索を試みる。加えて、日本国内における公職選挙で有利だとされる三要素を表した比喩表現「三バン(ジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄))」の有効性も測定するとのことだ。

日本経済新聞社の記者は10月17日以降の紙面について、これらの分析結果を利用し、地域特性と投票行動の関連や、景気と得票の関連など、従来とは異なる視点から紙面を作成する予定だ。また、これまで記者が肌感覚で理解していたことをデータで実証したり、分析の結果として得られた発見を取材で深堀りしたりすることで、購読者や有権者の政治への関心と、参加意欲などの向上に寄与することを目指すとしている。