AWS Glue2.0の導入でコストを削減

続いて、NTTドコモ ネットワーク本部 サービスデザイン部 部長 伊藤孝史氏が、同社のAWSにまつわるコスト削減の取り組みについて説明した。同氏によると、同社におけるAWSの利用は右肩上がりで増えており、現在のAWSアカウント数は1000を超え、Amazon EC2は16,000超、Amazon RDSは2,300超に達しているという。

  • NTTドコモ ネットワーク本部 サービスデザイン部 部長 伊藤孝史氏

  • AWSで稼働しているNTTドコモのサービス

伊藤氏は、「AWSのオンデマンドですぐに使える迅速性、柔軟性のメリットを感じている一方、簡単に使えるのでコストに対する意識づけがしづらく、プロジェクトによってコスト最適化の対策にバラツキがあるという課題があった」と語った。

そこで、ドコモでは、「コスト最適化」「技術支援」「要望取りまとめの実施」による「クラウドCoE」を実施している。あわせて、クラウドに関するノウハウを集約したガイドラインや運用を効率化するツールを内製して提供 している。

また、FinHackワークショップでは、「AWS Cost Explorer のハンズオン」「スポット適用の勘所」「サーバーレス マネージド利用による TCO 削減」などを実施したという。

伊藤氏は、コスト最適化の事例を複数紹介した。例えば、検証環境では利用状況を可視化することで、EC2が45%、 RDSが25%を占めていたことが判明した。そこで、EC2インスタンスを減らすため、Spotインスタンスを導入し、夜間や休日に自動停止した。その結果、リソースを60%削減できたという。商用環境においては、サービス開始当初からサーバの台数を17%削減したそうだ。

また、ECS(Elastic Container Servic)については、トラフィック傾向に合わせたスケジューリングと、バーストに備えたオートスケールを組み合わせて採用し、スケーリングによるインスタンス数調整により、 ECS コストを37%削減した。常時起動しているインスタンスにはSavingsPlansを適用することで、ECSのコストを17%削減できたとのことだ。

  • ECSのコスト最適化の取り組み

  • ECSのコスト最適化の取り組み

加えて、最新世代インスタンスの状況を鑑みて、コスト削減、性能改善の効果を見極めたうえで AWS Glue2.0 導入を決定。これにより、27%のコスト削減を達成した。アクセスログを保存しているAmazon CloudWatch ログが高額であることがわかったため、ライフサイクルと保存方法を変更、これにより、35%のコストを削減できたそうだ。そのほか、土日・夜間の商用維持環境の停止により、35%のコスト削減を図ったとのこと。

  • AWS Glue2.0とAmazon CloudWatchを用いたコスト最適化の取り組み

伊藤氏はコスト最適化の成果として、バッチサーバが未使用時に0台になっているシステム、検証環境は夜間落とすようになっているシステム、オートスケーリングを利用しているシステムが9割超に達していると語った。

今回、伊藤氏はコスト最適化のための継続チェック項目として、以下を紹介してくれた。コスト最適化の成果を上げている同社の取り組みを踏まえたチェック項目は、他の企業でも役に立つのではないだろうか。

  • コスト最適化のための継続チェック項目