アジレント・テクノロジーは7月21日、バイオ医薬品業界のニーズに対応するために設計されたユニバーサルな「InfinityLab Bio LCシステム」3製品を発表した。

  • InfinityLab Bio LC

    今回発表された製品の1つ「1290 Infinity II Bio LC システム」の外観 (画像提供:アジレント)

これまで同社はBio LCソリューションとして、2016年よりバイオ不活性が必要なアプリケーション向けに「1260 Infinity II バイオイナート LC システム」を提供してきたが、バイオ医薬品業界からは、日常のルーチン分析やLC/MSフロントでの活用、分析法の開発などでの利用といったニーズがあり、今回発表された3機種はそうしたニーズに対応する機能などを持たせたものとなっている。

日常のルーチン分析向けに開発されたのは、高い汎用性を有する生体分離用HPLCシステム「1260 Infinity II Prime Bio LC システム」で、耐圧最大80MPa、最大流量5mL/minの性能を提供し、バイオ医薬品(重要品質特性など)のほか、高塩濃度条件や極端な高pH条件を伴うアプリケーションで使用される生体適合性材料で構成されており、生体分子の完全性とシステムの堅牢性を確保することができるとしている。

一方の生体適合性のある材料で構成されるユニバーサルなUHPLCである「1290 Infinity II Bio LC システム」には分析法の開発に適した高性能な「フレキシブルポンプ搭載モデル」と、LC/MSのフロントでの活用が可能な「ハイスピードポンプ搭載モデル」の2種類が用意されており、いずれも最大130MPaの高耐圧と最大5 mL/min の流量を兼ね備えているという。

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  • 「1260 Infinity II Prime Bio LC システム」と「1290 Infinity II Bio LC システム」の概要 (資料提供:アジレント)

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  • InfinityLab Bio LCの適用アプリケーションイメージとBioモデルとバイオイナートモデルの違い (資料提供:アジレント)

またこれら3製品は、他社のLCシステムをエミュレートすることを可能とする「ISET(Intelligent System Emulation Technology)」を搭載。これにより、1290 Infinity II Bio LCとISETを活用して分析法を開発し、そのメソッドを他社のLCシステムしか有していないCDMO(Contract Development Manufacturing Organization)やCRO(Contract Research Organization)に提供し、シームレスに移管を行うといったことが可能になるという。

さらに、ユーザーの利便性向上という観点から、ハードウェアのみならず、優れたソフトウェアやサービスも重要ということで、ワンストップパッケージとして、カラム、自動化ソリューション、LC/MS、ソフトウェア、サービス、消耗品・試薬・キットなどの拡充も進めており、中には同社以外の装置と接続することを可能とするソフトなども用意しているとする。

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    拡充されたワンストップパッケージ (資料提供:アジレント)

なお、これら3製品の標準価格について同社では、一般的な構成(ポンプ、オートサンプラ、マルチカラムサーモスタット、VWD仕様(クロマトデータシステムなし))の場合で、1290 Infinity II Bio LCのハイスピードポンプ仕様が977万円(税別)~、同フレキシブルポンプ仕様が900万円(同)~、1260 Prime Bioが827万円(同)~としている。

また、同社では、1260 Infinity II バイオイナート LCも継続して販売していくとしており、4製品をユーザーのニーズに応じて提供していくとしている。