コロナ禍において原則リモートワークとなった結果、オンライン会議は月間15,000回から20万回と10倍以上に増加。働き始める時間を9時前に前倒しする人が70%から90%へと増加した結果、月5時間程度、勤務時間が増加したという。従業員負担が増えているようにも見えるが、平均片道60分の通勤時間がなくなった結果、自由に使える時間は増えた。それが満足度の向上に貢献しているようだ。
また同社では、2020年10月にコアタイムを設けないスーパーフレックス制度を導入。プライベートの用事を挟んで勤務時間を分けられる分断勤務制度を組み合わせて利用することで働き方の柔軟性が増した。コロナ禍で他社でもリモートワークが推奨されたことで家族のサポートを得やすくなったことなどを理由に、子育て世代女性が短時間勤務からフルタイムに復帰する傾向があるという。実際に育児のワンオペ状態から解放されたという女性従業員の例も紹介された。
この他、ストレスチェックにおいても個人・組織両面でポジティブな結果が出ているなど、全体に2020年度の全社的なリモートワーク化への取り組みが成功している様子が語られた。
成功につながった20年の取り組み
成果のあるリモートワーク環境への全社的な移行がスムーズに行われたのは、先にも述べた通り20年の取り組みがあるからだ。当初は少人数のトライアルを繰り返した後は、育児・介護に限定した利用が可能になったが、そこから理由の限定がなくなり、全社員が利用可能となるまで10年かかっているという。
「セキュアドPCの自社開発ができてから進み始め、オリパラに向けたテレワークデイズやコロナに後押しされて2020年2月にできた」と山本氏。
「風土・意識」、「制度・ルール」、「環境・ツール」を三位一体として働き方改革に取り組んできた土壌があってこそのスムーズな移行であり、結果というわけだ。さらに現在は、全従業員が「リモートワークネイティブな働き手」となることをめざした取り組みが行われているという。