米IBMはこのほど、米国連邦政府機関による長期的なサイバーセキュリティ脅威への対応を支援するため「IBM Center for Government Cybersecurity」を創設すると発表した。新センターでは、世界1万7500社を超えるユーザー企業へのソフトウェアやマネージド・サービスの提供によって培った同IBMのサイバーセキュリティの専門知識を使用し、各種イベントの実施や学習機会を提供する。

  • 「IBM Center for Government Cybersecurity」

同センターの目的は、同社が官民で利用しているサイバーセキュリティ技術や、IBM Researchで開発しているセキュリティ・イノベーションに関する情報へのアクセスを、ワークショップを通じて提供すること。

元政府関係者を含む同社の社内エキスパートと外部アドバイザーで構成する専門家チームと協力しながら、同社の技術を使用し、ゼロトラスト・フレームワークやクラウド・セキュリティといった優先課題に重点を置いたワークショップを主催する予定だ。また、IBM Researchも暗号化解読に向けて協力するとのこと。

同センターは、ワシントンDCの中心部にある同社事業所内に設置する予定。政府機関のユーザーは、施設の中核となる研究用スペースで、同社の技術やサービスのデモから得る洞察を通じて、高度なセキュリティ脅威に対する独自ソリューションの共同開発が可能という。対面での会議が困難な場合はバーチャル・セッションを実施するとともに、ユーザーのオンサイトでのセッションも可能としている。

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実施するセッションの初期の例として「ゼロトラストの世界への適応」「データ・ポータビリティに対するハイブリッドクラウドのセキュリティ課題」「暗号技術の未来」があるという。

同センターの諮問グループは、米連邦政府のユーザーに過去の課題について助言し、現在および将来の規制や命令に対処するためのベスト・プラクティスの評価を支援できる、元公共部門のリーダーや民間部門の専門家で結成しているとのこと。

諮問グループへのアクセスは、オンサイトでの会議、リモート会議、個別のディスカッションを通じて可能になるという。またセンターの諮問グループは、サイバーセキュリティの課題と解決策に関するソート・リーダーシップや研究を発表する予定だ。

加えて、同社の研究機関であるIBM Security X-Forceも、同センターのイベントを通じて利用可能になるという。同機関は、世界130カ国以上で1日に1500億件を超えるセキュリティ・イベントを監視しており、同センターに参加している米連邦政府のユーザーは同期間の研究成果を早期に入手できるとのことだ。