セコムは6月10日、記者会見を開催し、人工知能(AI)や第5世代移動通信システム(5G)などの最先端技術を活用したセキュリティロボット「cocobo(ココボ)」を開発したと発表した。同ロボットは、商業施設やオフィスビルなどで、常駐警備員に代わりに巡回警備や点検業務を行う。セコムは2021年内の発売を予定している。
「cocobo」は、設定した巡回ルートを自律走行し、搭載したカメラで捉えた映像をAIによってリアルタイムで解析し、ルート上の放置物などを自動で検知して防災センターに通報する。ルート上の人物などの障害物は自動で検知して衝突を回避する。不審と思われる人物に対しては、音声やライトでの警告や、煙を使った威嚇を行うことも可能。
点検業務を行う際には、ゴミ箱などの点検、扉の施錠確認などの目的に応じたアームを装着する。例えば、ゴミ箱の点検の場合、熱画像センサーやカメラを搭載したアタッチメントを使用し、ごみ箱内の危険物を検知する。アームを自在に動かしてベンチの下や自動販売機の奥側、底面などさまざまな場所の点検も可能だ。
また、クラウドを介して建物内の監視カメラ映像やエレベーターなどを連携して、複数階を巡回することが可能。防水機能も備わっているため屋外の巡回もできるほか、3時間の連続走行が可能で、バッテリー残量に応じて自動で充電を行う。
セコムは以前から同様のセキュリティロボットの開発を行っている。2018年3月に試作機として発表された「セコムロボットX2」は、2019年から成田空港で導入されている。今回新たに開発された「cocobo」には、「セコムロボットX2」にはなかった防水機能、画像をリアルタイムにAIで処理する機能が搭載されている。
また、デザインに関しても大きな変化がある。「cocobo」のデザイン設計を担当したznug designの根津孝太氏は「ロボットが身近になった今では、公共空間に調和する自然なデザインの方がいい。威圧しないが威厳があるデザインに仕上げた」と説明した。
セコムは、2021年6月から国内のさまざまな施設で「cocobo」試験運用を開始し、量産化を進め、2021年内に提供を開始する予定だ。なお、「cocobo」の基本的なスペックは以下の通り。