ASPINAは6月2日、製造現場向けに搬送省人化をサポートする自律走行搬送ロボット(AMR)を開発し、6月より試験販売を開始することを発表した。
工場の製造現場においては、製造にかかる各工程間を製品を移動させる搬送作業は人が行う手搬送のほか、近年ではAGVといった自律走行による搬送ロボットが担うようになっている。しかし、AGVでの自動化では、導入のための初期設定などが面倒、工程の変更によるレイアウト変更に伴って、搬送用ガイドの引き直しが必要などといった手間がかかり、そうした作業の省力化が求められていた。
AMR(Autonomous Mobile Robots)は、LiDARやSLAMを活用することでガイド不要で自律して走行を可能とした自動搬送ロボット。倉庫や完全自動化された工程などで活用が進められてきたが、製造現場での採用には人が介在する際の対応を行う必要がある、小回りを利かせる必要がある、などといった特有の課題を解決する必要があったという。
今回、同社が開発した「ASPINA AMR」は作業者が存在する中においての利用に向け、SLAM機能を用いた自動地図作製、ガイドレスでその場でターン可能(最小回転径700mm)な小回りが利く小型ボディ(525mm×615mm×250mm)を採用することでそうした課題の解決を可能としたという。
また、安全性への配慮として、進行方向に地図にない障害物を検知した場合、一度停止し、別の経路を探索し、自動的に回避行動をとって目的地に向かうこともできるという。
最大積載重量は100kgとしており、本体重量は44kg(推奨バッテリー込み)で連続動作時間は12時間以上(推奨バッテリー使用時、充電時間は急速で2時間)。外部との通信はWi-FiをベースにBluetoothならびに有線接続に対応するとしている。
なお、試験的に販売されるのは10台の予定で、受注生産の形で行われ、使用環境な条件などの打ち合わせを行った後に納入、納入後のサポートを通して、パートナー(納入先)の要望を反映させ、2022年度中の量産開始を目指すとしており、2026年度には年間500台程度の販売規模にまで拡大したいとしている。