オートデスクは、同社が提供するCADツール「AutoCADファミリー」の提供方法を日本市場向けに再構築したことを発表した。

従来のAutoCADファミリーは2D設計ツール「AutoCAD LT」とAutoCAD LTに3D設計などの機能が加わった「AutoCAD」という2つのプランで提供されてきた。今回、そのプランを刷新し、AutoCAD LTと同価格帯で3D設計ツールを含む「AutoCAD」とAutoCADに電気制御設計向けツールなど、7つの業種別ツールセットが含まれる「AutoCAD Plus」の2つのプランで提供していくとしている。

  • AutoCADとAutoCAD Plusのプラン

    オートデスクが5月7日より提供を開始した新たなプランとなる「AutoCAD」ならびに「AutoCAD Plus」に含まれる機能 (資料提供:オートデスク)

再構築された2つのプランは5月7日より日本市場向けとして提供されている。

AutoCAD LTと同等の値段で提供されるAutoCAD

今回の再構築により、AutoCADはシングルユーザーあたり1年間のサブスクリプション契約で71,500円というAutoCAD LTと同価格での提供となる。AutoCADにはAutoCAD LTに含まれていなかった3Dの作図機能や自動化機能を有するため、平面図と立面図の作成と編集にかかる時間の短縮などを含め、全体の生産性が86%向上するという結果も出ているという。

  •  AutoCADとAutoCAD LTの設計生産性比較

    AutoCADとAutoCAD LTの設計生産性比較 (資料提供:オートデスク)

なお、Auto CAD LTの機能はすべてAutoCADでカバーできるため、Auto CAD LTは2021年6月7日をもって新規販売を停止する予定だ。AutoCAD LTの既存ユーザーはこれまでどおりAutoCAD LTを継続して使用することができるものの、契約途中でのAutoCADへの移行はできないという。ただし、新規でAutoCADやAutoCAD Plusに切り替えるという選択肢があるという。

業種別に特化したツールを提供するAutoCAD Plus

AutoCADの機能に、7つの業種別ツールセットが含まれるプランがAutoCAD Plusとなり、シングルユーザーあたり1年間のサブスクリプション契約で231,000円での提供となる。含まれるツールセットに沿った設計内容でAutoCAD単体と比較した場合、平均63%の生産性向上効果がみられたという。

  • 7つの業種別ツールセット

    AutoCAD Plusに含まれる7つの業種別ツールセット (資料提供:オートデスク)

  • 業種別生産性向上割合

    青色の数字部分が業種別ツールセット別の生産性向上割合を示す。電気制御設計向けを表す「ELECTRICAL」で95%の生産性向上が見られたとしている (資料提供:オートデスク)

同社は、競合製品と比較しても対応業種が多様であること強みだとし、含まれる7つの業種に該当する業種のユーザーに関してはAutoCAD Plusを検討してみてほしいとしている。

今回のAutoCADの提供方法の再構築を行った理由として、同社は日本市場における人材不足やニューノーマルへの対応が喫緊の課題であること、他国に比べ製造現場のテクノロジー活用が遅れていることを挙げる。また同社の織田浩義 社長は「今回の発表で、日本市場の課題や期待に大きな回答をご提供できたと考えている」とした。

なお、今回の提供方法の再構築は世界に先駆けて日本市場が初めての取り組みだとしており、同社は日本での成果を見て海外展開をしていく可能性を示唆している。