中外製薬は5月10日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を対象として開発中のウイルス中和抗体「casirivimab」と「imdevimab」の抗体カクテル療法について、日本において薬事承認された場合、国内での供給を目的として2021年分を日本政府が確保することで合意したことを発表した。

現在、開発が進められている抗体カクテル療法について同社では、ウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合部位に非競合的に結合する2つの異なる抗体医薬品(casirivimabおよびimdevimab)を同時に投与することで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して中和活性を示し、ヒト集団で現在蔓延しているスパイクタンパク質に変異を持つウイルス株を防御することが期待されるものだとしている。

すでに複数の海外臨床試験が実施されており、国内でも日本人における安全性、忍容性、薬物動態を検討する第I相臨床試験が2021年 3月より進められている。

なお、同療法は、リジェネロンが開発したもので、中外製薬の戦略的提携先であるロシュが2020年8月にリジェネロンと製造、開発、販売について共同で実施することを発表。2020年12月に、中外製薬が日本における開発権および今後の独占的販売権をロシュより獲得したものとなっている。

同社は、同療法の薬事承認が得られた場合の適切かつ速やかな供給に向け、引き続き日本政府とともに協働していくとしている。