ヴイエムウェアは4月22日、山中直氏が代表取締役社長に就任してから初めての事業戦略説明会を開催した。まず山中氏は、同社がフォーカスしているの4つのテクノロジーから構成されるフレームワーク「Digital Foundation」を紹介した。

  • ヴイエムウェア 代表取締役社長 山中直氏

同社は、製品に組み込まれたセキュリティ(Intrinsic Security)の下、あらゆるデバイス(Any Device)であらゆるクラウド(Any Cloud)とあらゆるアプリケーション(Any Application)が利用可能な世界の実現を標榜している。山中氏は「働き方改革が進む日本は、Any Deviceにおいて大きな市場となっている。今年後半には、VMware SASEの国内リリースが予定されており、セキュリティ分野には注目してもらいたい」と話した。

  • 「Digital Foundation」の概要

さらに、山中氏は、ニューノーマルの時代のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える上で、「Digital Foundation」が必要だと述べた。それは、経営者が求めるデジタル化およびITが直面する課題という2つの方向からのプレッシャーを「Digital Foundation」が解決できるからだという。

経営者は、「2025年の崖レガシーへの対応」「新しい働き方への追従」「デジタルサービスの迅速な提供」「DXを推進する人材の確保」を求めている一方、ITは「選択肢の多様化」「運用の効率化」「開発スピードの高速化」「人材/スキルの不足」という課題に直面している。

山中氏は「われわれはこれまで、ハードウェア、クラウド、アプリケーションとテクノロジーの抽象化によって、ITサイロにかけ橋を架けることで最適な選択肢を用意してきた。このことはこれからも続けていく」と語った。

  • ハードウェア、クラウド、アプリケーションを抽象化するDigital Foundation

山中氏は冒頭、同社の事業の変遷を、「サーバ/ デスクトップ仮想化」を第1章、「Software-Defined Data Center/Digital Workspace」を第2章、「Hybrid Cloud /Multi-Cloud」を第3章になぞらえ、現在は新たな省として、アプリケーションとクラウドのモダナイゼーションの実現に取り組んでいると説明した。

山中氏は、マルチクラウドの世界でこのアプリケーションおよびクラウドのモダナイゼーションを実現すると述べた。そのための取り組みとして、山中氏は以下の3点を挙げた。

  • デジタル時代の人材開発
  • ビジネス戦略推進室の設立
  • 業界ごとの“Digital Foundation”

人材開発の具体的な取り組みの1つとして、「VMware Tanzu Labs」が紹介された。「VMware Tanzu Labs」は3カ月のエンゲージメントによる有償プログラムで、旧Pivotalのエンジニアが担当するという。

「VMware Tanzu Labs」では、ヴイエムウェアのエンジニアと顧客のチームが協力して、ポートフォリオ全体を評価し、イノベーションとモダナイゼーションを起こす方法を決定する。「アジャイルなアプリケーション開発の手法、カルチャーなどを持ち帰っていただく」と山中氏は説明した。

また、社内においては、10名弱から構成されるビジネス戦略推進室を設立したほか、「VMware Future Innovationプログラム」を立ち上げたという。このプログラムはすべての従業員が参加することができる。

業界ごとのアプローチにおいては、まずはガバメントにフォーカスするという。

  • アプリケーションおよびクラウドのモダナイゼーションの実現に向けた取り組み

最後に、山中氏は田町にオープンした新たなオフィスを紹介した。新オフィスには約80の会議室が設けられているが、うち7割にリモートテクノロジーが活用することで、オフィスの内外でインクルーシブなコミュニケーションを可能にしているそうだ。

  • 田町にオープンした新オフィス