沖電気工業(OKI)は4月12日、屋外の広い場所に分散して動き回る人の体調情報をバイタルセンサー無線ネットワークを用いてリアルタイムにモニターする体調管理システムの実証実験を行い、体温・脈拍などの情報を人数や移動速度に関わらずリアルタイムに収集することに成功したと発表した。

  • 体調管理システム

    体調管理システム

OKIは、920MHz帯マルチホップ無線「SmartHop」で培ったマルチホップ無線ネットワーク技術をベースに、バイタルセンサー無線ネットワークを開発。高頻度にセンサー間のネットワークを再構成することでセンサーを付けた人の高速移動に対応し、センサー間で無線帯域を効率的に共有することでデータの収集率を向上させたという。

これにより、広い領域(屋外のスポーツグラウンド規模)において、多人数(~数百人)が高速移動(~10m/s)している状態で、各人の体温や脈拍等のデータを低遅延(10秒以下)で収集することが可能だとしている。

今回の実証実験は、大阪市立大学、関西大学、明治大学、ソリトンシステムズと共同で実施。学校施設の運動場を想定した屋外のグラウンドで、150個のセンサーを新型コロナウイルス感染予防策を徹底した68名の被験者の両腕に付けて運動してもらい、各自の体温および脈拍等を90%以上のデータ収集率で得られることを確認したという。

ライセンスを必要としない920MHz帯の利用により低コストでのネットワーク構築が可能となり、数百人規模での運動会や遠足など教育現場のさまざまな場面で、通信費用をかけることなく全生徒の体調をモニターする体調管理システムへの適用が可能になるとしている。

同社は今回の実証実験の成果を活かし、教育現場等でのさまざまな課題解決に向けて、バイタルセンサー無線ネットワークを用いた体調管理のためのソリューション提供を目指すという。教育用途以外にも、団体旅行の参加者や建築現場作業員の体調管理、スポーツクラブチームのパフォーマンス管理など、さまざまなシーンでの応用が見込めるとしている。