日立製作所(日立)は3月31日、米国IT企業のGlobalLogic(グローバルロジック)を買収すると発表した。買収額は約96億ドル(約1兆368億円)。電機業界において過去最大級の買収だ。日立の執行役社長兼CEOである東原敏昭氏は、同日に開催した記者会見の冒頭で「本買収はLumadaを進化させてグローバル展開を加速するために行う。世界のLumadaにするための買収だ」と説明した。

  • 日立製作所 執行役社長兼CEO 東原敏昭氏

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米シリコンバレーに本社を置くグローバルロジックは、2000年に創業されたITベンチャー企業。企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するシステムの開発事業を手掛けている。世界14カ国に約2万人以上の従業員を抱えており、世界各地にデザインスタジオやソフトウェアエンジニアリングセンターを展開している。

2021年度の売上高は前年比19%超の約12億米ドル(約1296億円)で、調整後EBITDA(税引前利益に、特別損益、支払利息、および減価償却費を加算した値)の比率は20%を超える見込みだ。さらにグローバルロジックは、通信、金融サービス、自動車、ヘルスケア・ライフサイエンス、テクノロジーなど幅広い業界で400社を超える顧客基盤を持っている。

  • Lumadaによる社会イノベーション事業の成長戦略

日立は、同買収を通じてグローバルロジックの持つ顧客基盤を活用し、日立独自のIoT基盤「Lumada」関連事業のグローバル展開を加速していく方針。また、グローバルロジックが持つ、組み込みソフトやエッジからクラウドまでを一体で提供する能力を活用することで、サイバー空間とフィジカル空間リアルタイムに制御することができ、データドリブンな「Lumada」事業の強化につながるとしている。日立は、2028年度には調整後EBITDA10億米ドル(約1080億円)超の達成を目指す。

なお、今回の買収は現金対価による逆三角合併方式で実行される。日立が直接買収するのではなく、日立の米国子会社である日立グローバルデジタルホールディングス社が全額キャッシュで買収を実行する。クロージング(完全子会社化)は、2021年7月末までに行う予定とのことだ。