データ仮想化製品を提供するDenodoTechnologiesは3月24日、創設者兼CEOのアンヘル・ヴィーニャ氏による記者説明会を開催した。同氏は最新のビジネス概況、グローバルでの事業ビジョン・戦略について説明した。
ヴィーニャ氏は冒頭、「今や、データはあらゆる企業にとって重要な資産となっている。データ仮想化は新しいテクノロジーであり、データ管理のための論理的なアーキテクチャを提供する」と説明した。
そして、ヴィーニャ氏はガートナー、フォレスター・リサーチといった主要な調査会社の評価を引き合いに出し、同社がデータ統合、データファブリック、データ仮想化市場においてリーダーであることをアピールし、「IBM、SAP、Oracleなどが並ぶデータ統合市場のリーダーの中で、前年比50%の成長を果たしているのはわれわれだけ」と語った。
また、グローバルのビジネス戦略としては、以下を挙げた。
- データ統合およびデータ管理カテゴリにおいてリーダーシップを維持
- 大規模な研究開発投資によるデータ仮想化のイノベーションをリード
- PaaSおよびSaaSオファリングでクラウドへの浸透を拡大
- ダイレクトおよびパートナービジネスの両輪による世界中の顧客ベースの急速な拡大
- データ統合のリーダーの中で最も急成長しているベンダーのステータスを維持
- 会社として人員を増大しプレゼンスを拡大しつつも収益性を維持
プロダクト戦略については、「スモールスタートから大きく成長」とした。同社のプロダクトは、大企業向けの「Denodo Platform」とより規模が小さな企業向けの「Denodo Standard」がある。前者はロジカルデータファブリックの構築とデータ管理を実現し、後者はデータ統合を実現する。
一般に、外資のITベンダーはパートナーと組んで、日本でのビジネスを展開していくが、Denodoも同様だ。ヴィーニャ氏は「幅広い企業をサポートするため、さまざまなツールと連携することができるようにしている」と語った。「われわれは、いかなるニーズに対しても、データの領域で必要な機能に統合されたデータレイヤに組み込める最先端のデータ管理ソリューションを実現できる」(ヴィーニャ氏)
ヴィーニャ氏は「データ仮想化のROIを生み出す要素として、ビジネス面では、データアクセス、アジリティ、リアルタイム分析、ビッグデータ、IoTなどが、また、テクノロジー面では複雑さとデータ複製を減らし、データ基盤の柔軟性とスケーラビリティを向上することがあり、データ仮想化の市場は今後も拡大していくことが見込まれる」と述べた。
日本における戦略については、Denodo Technologies 営業本部長 中山尚美氏が説明した。
中山氏は「お客さまと話していると必ず出てくるのが『デジタルトランスフォーメーション』という言葉。企業はデータを使って、デジタルな会社になることを目指している」と語った。
BIやAIなどのフロントツールが市場に増えてきているが、これらのツールを使いこなすには、多くのデータが必要なことが課題となるという。また、企業は「鮮度が高いデータを分析したい」「データのセキュリティとガバナンスを担保したい」というニーズを抱えているが、Denodoのプラットフォームでそれらを解決していく。
加えて、より多くのデータを使おうとすると、保存するための器が必要になる。また、中山氏は「データをコピーしながら使うと、鮮度に問題が生じる。デジタルトランスフォーメーションを阻害するような手法でデータを使っている企業からお問い合わせが増えている。データにまつわる課題はインダストリーを問わない」と語った。
中山氏は上記のようなビジネスのニーズを踏まえ、2021年にフォーカスするポイントとして、「新規顧客数の飛躍的増加」「体制強化(パートナー、社内)」「ローカライゼーション」を挙げた。