米Denodo Technologiesは10月6日、データ仮想化基盤「Denodo Platform」の最新版であるバージョン 8.0を発表した。今年8月に既にリリースされている。説明会では、プリセールスエンジニアの平井孝典氏が主要な新機能の説明を行った。
「Denodo Platform」は単一の仮想的なリポジトリとして機能し、俊敏性とガバナンスを確保した形でデータ統合・管理・配信を実現する。そのために、ユーザーフレンドリーなデータモデルを生成し、SQLやデータサービスなど柔軟な手段でデータを展開する。また、メタデータおよびデータの探索用にデータカタログのWebアプリを標準で提供し、複数のデータソースに対する一元的なセキュリティを提供する。
平井氏は、バージョン 8.0の強化ポイントとして「Webインタフェースの導入 」「分析パフォーマンスの向上」「GraphQLサポート」「クラウド統合」「データカタログの導入」を挙げた。
「Webインタフェース」については、データ開発者向けに、Webベースの開発環境「Webデザインスタジオ」が追加された。これにより、Webブラウザの身でモデリングすることが可能になった。その結果、従来は開発者に要件を伝えてデータの加工を依頼していたところ、ユーザー自身でデータの加工ができるようになった。
「分析パフォーマンスの向上」を実現するため、サマリーと呼ばれるスマートキャッシングが追加された。サマリーには、クエリオプティマイザーが分析クエリを加速するための開始点として使用できる再利用性の高い一般的な中間サマリー結果が保存される。これにより、負荷がかかる集計計算を事前に保持するため、クエリが数十倍高速化されるという。
平井氏はクエリのパフォーマンスについて、「3つのデータベースに同じクエリをかける場合、Denodoがない状態だと500秒以上かかる。Denodoでによって、これを13秒にまで短縮できた。さらに、8.0でスマートキャッシングを使うことにより、1.4秒まで高速化することができた」と語った。
次のアップデート「Update 1」で、過去の集計クエリをもとに推奨されるサマリーキャッシュの作成をリコメンドする機能が実装され、将来的にはDenodoのオプティマイザが過去のアクティビティを学習して自動チューニングすることが計画されている。
また、DenodoオブジェクトからAPIからデータを取得するためのクエリ言語「GraphQL」にアクセスできるようになった。具体的には、Denodo側でビュー定義を行うだけで、GraphQLからのアクセスが可能になった。複数のデータソースの組み合わせがDenodoのオプティマイザで処理されるため、手動コーディングよりも優れたパフォーマンスが期待できるという。
クラウド統合については、Solution ManagerがAmazon Web ServicesにおいてDenodoプラットフォームの「クラスターの作成と管理」「TLS、ロードバランサー、Au、to Scalingグループなどの構成」「Denodoサーバーの起動と停止」などのデプロイを自動化できるようになった。これにより、さまざまな設定を構成するために各サーバにSSHで接続することなく、AWSのデプロイメント全体をインスタンス化して管理可能になった。
8.0で導入されたデータカタログは、仮想モデル(ビュー)を通じて公開されたデータに対する、メタデータのブラウザベースの検索、データのクエリ・エキスポート、エンティティ間の関係の表示、データリネージュ、 利用統計、カスタムオプションの管理を可能にする。データカタログを用いると、仮想レイヤ内のデータを素早く見つけて活用することができる。
今後、より高度なデータスチュワードシップとユーザーコラボレーション機能を提供し、統合された使用統計情報と人気ランキングをデータレコメンデーションエンジンと連携して機能させる計画としている。