東日本電信電話(NTT東日本)とブレインスリープは3月15日、睡眠におけるデータ分析基盤の構築及び睡眠障害診断のAI(人工知能)予測に関する実証実験を共同で開始したと発表した。今後はさらにパートナーシップを強化し、多様なパートナー企業と協働しながら、日本の睡眠課題の解決を目指していくという。

  • データ利活用取り組みのイメージ

近年、睡眠負債という言葉が話題になっており、これは日々の睡眠時間の短縮が本人の気付かないうちに蓄積すること、またこれにより、日中の集中力低下、精神状態の悪化、生活習慣病を含む多様な疾病リスクの増大などの多くの悪影響が現れることを意味しているとのこと。企業では、従業員の睡眠不足の蓄積や睡眠障害により、労働生産性の低下や経営効率の低下を招いているとしている。

睡眠負債が大きな問題を引き起こす一方で、睡眠課題を解決する医学的・科学的エビデンスに基づいたソリューションは社会実装が進んでいない状況にあるという。

このような背景を踏まえ、日本の睡眠課題を解決するために医学的・科学的エビデンスに基づいたソリューションで睡眠革命を起こし、脱・睡眠負債を目指すというブレインスリープと、AIやIoTなど先端技術を利用した地域課題解決を推進するというNTT東日本は、健康経営を推進したい企業や新しい睡眠ソリューションを創出したい企業の支援を実施するとしている。

今回実施するプロジェクトは、睡眠データ利活用基盤の構築、AIによる睡眠障害診断予測、企業の健康経営促進の支援、新しい睡眠ソリューションを創出したい企業及びスマートシティを推進する自治体の支援の4点。

睡眠データ利活用基盤の構築については、ブレインスリープが所有する睡眠に関するデータ及び今後の研究データを一元的に蓄積し、AIによるデータ分析などでさらなる活用が可能な睡眠データ利活用基盤を構築する。

今後、健康経営を促進したい企業、新しい睡眠ソリューションを創出したい企業及びスマートシティを推進する自治体へ、同基盤を用いた支援を実施する。

AIによる睡眠障害診断予測に関しては、川崎市の太田睡眠科学センターと連携し、睡眠障害の診断をサポートするAIモデルの構築を開始した。

同センターは日本有数の睡眠検査の実績を持つといい、その受診者でPSG検査により確定診断が下った約1万人の問診・検査データを使用し、AI技術で睡眠障害を予測するモデルを構築することで、よりスピーディーかつ効率的に睡眠障害の診断をサポートする環境の構築や睡眠障害の早期発見を目指していくとしている。

企業の健康経営促進の支援については、ブレインスリープが提供する睡眠可視化Webサービスである「睡眠偏差値 for Biz」を使用し、従業員の睡眠及びエンゲージメントを可視化し、表面化していない課題を分析することで、従業員のプレゼンティーズム改善の支援を実施するという。分析では、睡眠に加えてストレスや生産性など多角的な分析を実施して課題を明確化した上で、解決のためのソリューションを用意するとのこと。

企業や自治体に対する支援の第1弾として、センシング・IoT技術を駆使し、個々の最適な仮眠時間及び覚醒タイミングを特定し、スムーズな目覚めを促すための技術検証を実施するという。

この検証によって取得した知見及びノウハウを提供し、新しい睡眠ソリューションを創出したい企業及びスマートシティを推進する自治体の支援を実施するとしている。