レノボ・ジャパンとレノボ・エンタープライズ・ソリューションズは3月10日、2021年の事業戦略を発表した。

この中で、レノボ・ジャパン 代表取締役社長 デビット ベネット氏は「ハードウェアに続いて何を加えるのか。それはサービスだ」と語り、今後、サービス事業に力を入れていくことを明らかにした。

  • レノボ・ジャパン 代表取締役社長 デビット ベネット氏

同社の2020/21年 第3四半期(10-12月期)の業績は、売上、税引き前利益 、純利益のいずれも過去最高(第3四半期として)を達成し、2020年4-12月通期の国内法人向けPC市場で、2005年の日本法人設立以来、初のシェアNo.1(レノボブランド単独)を記録したという。ベネット氏によると、業績に貢献したのは、テレワークとGIGAスクールだという。

同氏は、「レノボ自身がテレワークが進んでいるので、コロナ禍での重要なポイントを早く理解し、準備できたためだ」と業績好調の理由を語った。

  • レノボ・ジャパンの2020/21年 第3四半期(10-12月期)の業績

同社が2021年に強化するサービスは、PCやサーバの導入をスムーズに行ってもらうサービスと日々の運用をサポートするサービスだという。サービス強化はグローバルの方針で、それに向け同社は、SSG(Solutions & Service Group)という新たな組織を立ち上げた。

  • PCなどのIntelligent Device Group、サーバなどのInfrastructure Solutions Groupに加え、サービスを担当するSolutions & Service Groupという組織を立ち上げた

ベネット氏はサービスを強化する理由を、「コロナが企業の働き方を大きく変え、PCやITの使い方も変わってきている。これによって、企業のIT部門の取り組む課題も変わっている。これまで提供してきたソリューションがリモート環境に対応できているのか確認する必要があり、PCを迅速に展開するために多くの判断が必要だ。レノボは、ハードを提供しているだけではこれらの課題を解決できない。それがレノボがサービスに力を入れる背景だ」と説明した。

  • レノボがサービスに注力する背景

2020/21年 第3四半期のサービスの売上は、対前年比で35%アップしており、全体の売上に占める割合は8%だという。同社では、1年後にこの比率を15%まで拡大する計画だ。

サービス部門を統括するレノボ・ジャパン 執行役員 サービス事業部サービスセールス&マーケティング本部統括本部長 上村省吾氏はサービス強化について「Modern ITの積極的な活用を推進するという一言に集約できる」と語った。

  • レノボ・ジャパン 執行役員 サービス事業部サービスセールス&マーケティング本部統括本部長 上村省吾氏

具体的に提供するサービスとしては、IT推進計画のサポート、運用サポート、保守と連動した新規展開サービス(代替え機の提供やマイグレーション)など、6つのサービスを提供する。

  • レノボが提供する6つのサービス

さらに、コンサルティング、エンドポイントデバイスのセキュリティ管理、ソフトウェアのスタック管理などのマイクロソフトモダンワークプレイスを活用するためのサービス、PC 、デジタルデバイスの管理やエンドポイントのセキュリティ管理の「レノボ スマートフリート サービス」、非接触型のPC展開サービス(オートパイロットなど)、24時間サポートの「レノボ・プレミア・サポート」なども提供していくという。

  • マイクロソフトモダンワークプレイスを活用

  • 「レノボ スマートフリート サービス」

サービス強化の一環で同社は、2021年2月にPCのキッティングやZero Touch Deploymentの実現をサポートする「レノボジャパン CFS」をNECPC 群馬事業場内に開設したことも発表した。

  • NECPC 群馬事業場内に「レノボジャパン CFS」を開設

サービス以外の法人ビジネスでは、場所を問わない働き方の定着化、質の高いコラボレーション実現、エンゲージメント向上への取り組みなど、“働き方”の新常識「Smart Normal」(ニューノーマル)に対応するビジネスを強化するという。

レノボ・ジャパン 執行役員 副社長 安田稔氏は、「2021年は新しい働き方へのリスタートする重要な1年となる。これからは、つながるだけではなく、質が重要だ」と語った。

  • レノボ・ジャパン 執行役員 副社長 安田稔氏

同社はこれに向け、テクノロジーの力で顧客のデジタル変革を支える「Smarter Technoloy for ALL」をコンセプトとして掲げ、それぞれの働き方に最適なデバイスを提供する「Smarter Devices」、質”の高いコラボレーションを実現する「Smarter Collaboration」、スマートノーマル時代にあった快適なオフィス環境構築と可視化を行う「Smarter Infrastructure」に注力するという。

  • 「Smarter Technoloy for ALL」に向けて

コラボレーションでは、5Gを利用した自動翻訳、動画編集、リアルタイムホワイトボードの機能を提供していくという。また、TeamsやZoomをサポートした会議室向けのツールやAI搭載したカメラなども提供する予定で、そのために新たなパートナーとの協業を模索していくという。

  • 安田氏はつながるだけでなく、コラボレーションの質にこだわるとした

また、同社はIoT向けにThinkIoTというブランドで製品を提供しているが、第2世代で進化した 0.5L 筐体のEdge専用コンピューター「ThinkEdge SE30」、IP50に対応した上位機「ThinkEdge SE50」を、今後日本で提供していく予定だという。

  • ThinkEdgeシリーズを国内で展開

データセンター事業についてレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 代表取締役社長 ジョン ロボトム氏は、「最も信頼されるデータ・センター・パートナーになることで、インテリジェントな変革に貢献していく。NetApp社とのパートナーシップによりストレージビジネスが急成長(1年で61%成長)しており、レノボがハイエンドからEnd to Endで提供できるのがポイントだ」とした。

  • レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ 代表取締役社長 ジョン ロボトム氏

そして、「Lenovo Professional Serviceはグローバルで170%成長しており、非常に重要になる」と語った。

  • Lenovo Professional Service