日立製作所は12月22日、生活者のパーソナルデータ(個人情報に限らず、商品の購入履歴やGPSによる位置情報など広く特定の個人を識別しない情報を合わせて、パーソナルデータと定義)利活用に対する意識や、パーソナルデータを利活用した新型コロナウイルス感染拡大防止対策への期待と不安、ニューノーマルに向けた行動変容との関係性などを調査した「第五回 ビッグデータで取り扱う生活者情報に関する意識調査」を実施したと明らかにした。なお、同調査は博報堂の協力を得て実施している。

同調査は日立と博報堂が両社におけるビッグデータ・IoT・AIの利活用事業推進の一環として、2013年度より継続的に実施してきたもので、パーソナルデータ利活用に対する生活者の意識の変化や、新たな動向に対する関心などを把握することを目的としている。

具体的には、第一回からの継続としてパーソナルデータ利活用に伴うリスクへの不安について調査し、不安の低減につながる対策についても検証している。第五回となる今回は、10月1日~10月2日にインターネット調査によち、全国の20~60代男女1030人を対象に、新たにパーソナルデータを利活用した新型コロナウイルス感染拡大防止対策についても調査した。

調査結果によると、パーソナルデータの利活用に対する期待と不安の比較については「同じくらいである」と回答した中間層が高い割合を示し、なかでも60代において中間層が伸長した。不安要因のトップ2は、前回調査と変わらず「拒否権がないこと」と「活用目的の説明・公表が不十分」だったが、その回答割合は低下した。企業などに求められるプライバシー保護施策について「データの最小化」「目的の正当性及び明確化」への期待が大きく上昇し、これらが生活者の不安低減のポイントになると考えられるという。

また、新型コロナウイルス感染拡大防止対策のためのパーソナルデータ利活用については、生活者の8割以上が期待していることが判明し、特に接触・近接や位置情報を活用した接触予防に期待が寄せられている傾向にある。行動追跡を伴う対策についてはプライバシー懸念を覚える傾向が明らかになり、感染予防効果を上げる目的で位置情報や移動履歴を提供するための条件として「パーソナルデータの利用目的の制限」が最も重要視されている。

さらに、新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を実践する人は、ITを用いた感染拡大防止対策への参加度が高いだけでなく、感染症拡大防止対策以外のデータ利活用への期待も高い特徴が明らかになった。「パーソナルデータ利活用全般に対する知識・関心度」と「企業等によるプライバシー保護施策による不安の改善度合」でグループ分けしたところ、各グループの意識の違いが明らかになった。

同社では、新型コロナウイルス感染拡大防止対策に向けたソリューションを多数提供しており、パーソナルデータを取り扱うものも多く含まれる。今回の調査から得られた生活者のプライバシー意識に関する知見は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策ソリューションをはじめとした各種ソリューションの開発・提供や、顧客企業のパーソナルデータ利活用事業の運用支援に活かしていく。