東京都市大学(都市大)は11月17日、ヒトの目が少なくとも約1000分の8秒(8ミリ秒)の変化を認識できることを実験により明らかにしたと発表した。

同成果は、同大学メディア情報学部 情報システム学科の宮地英生教授らの研究チームによるもの。詳細は、10月28日から鳥取県米子市で開催されたコンピューター技術の国際会議「3PGCIC-2020」にて発表された。

近年、コンピューターゲームを用いて身体・知的能力を競う「eスポーツ」の普及が進んでおり、将来はオリンピック・パラリンピックでの採用も期待されている。eスポーツは従来のスポーツと比較して、体力に差のある若者と高齢者間での対戦もより行いやすく、幅広い年齢層が一線級の競技者となれる可能性を秘めている。もちろん、ヒトの反射神経は加齢により衰えることから、公平な競技環境を構築するためには、若者に一定のハンデを課する必要があると考えられている。

そうした中、宮地教授らは今回の研究で、市販品で最高のリフレッシュレートである240Hzで動作する高速モニターを用いて、「モニターの色が白から青に変化したらボタンを押す」という独自開発したゲームソフトを用いて、ヒトの反射神経の「単純反応速度」の調査を実施した。単純反応速度とは、あらかじめ動作を決めておき、刺激を感じたらその動作を行うという単純な反応速度(反応時間)のことである。

すると、周波数を高く設定したモニターの方が(240Hzと120Hzで比較)反応速度が速くなり、少なくともヒトの目が1000分の8秒の画像変化を認識することが明らかになった。240Hz以上の高速モニターは研究当時、市販化されていなかったため、現時点では、これ以上のヒトの反応速度を今回のシステムを用いて測定することはできないが、さらに速い可能性もあるようだ。またこの結果から、年齢差のある競技者間では、若者用のモニターの周波数設定を下げるなどして、容易にハンデを設定できる可能性も示されたとした。

また今回の実験に参加した6人の被験者の内訳は、研究室の5人の学生と、宮地教授だった。若い学生を中心に行われたことから、ヒトの平均的な能力を測定したとはいえないとしている。しかし年齢が増しても、高速で画像が変化するeスポーツを行うことで判断能力を鍛えられる可能性があるとした。

また今回の結果は、eスポーツの常識とされる「性能の高いコンピューターシステムがeスポーツの勝負に有効である」が、科学的に実証されたことにもなったという。このeスポーツの常識は、経験則からいわれていることだが、実は科学的に示された例は少ない。しかし、スキルの高いプレイヤーは240Hzモニターを利用していることが多く、そして今回の結果から年齢に関係なく120Hzよりも240Hzの方が速いことが明らかにされた形だ。

今回の研究は、eスポーツを通して高められるヒトのスキルを調査する研究の一環として、性格にヒトのスキル計測を行うためのコンピューターシステムの性能の影響を見積もったものだという。宮地教授は、今回は初心者でも熟練者でもヒトは240Hzモニターを使うことでスコアを高めることが示されたが、今後は経験者のみが持つスキルを明らかにし、eスポーツがヒトのスキルを高め、健康にも効果があることを示していく予定とした。

  • 都市大

    周波数によってモニターに現れる画像の違いのイメージ(今回使用されたゲームソフトとは異なる) (出所:東京都市大学Webサイト)