はこだて未来大学、東京女子医科大学、ドコモの三者は11月9日、ドコモの5Gを用いた通信サービスと、MEC(マルチアクセスコンピューティング)の特徴を持つクラウドサービスである「ドコモオープンイノベーションクラウド」を活用し、伝送された大容量の手術データをAIが解析する実証実験を2020年12月~2023年3月まで実施する予定と発表した。
同実証実験では、5Gと「ドコモオープンイノベーションクラウド」、情報通信研究機構の超高速研究開発ネットワークテストベッド JGN により両大学を接続し、AI解析技術を活用した脳構造や処置状況の可視化や、手術工程判別による手術支援のための環境を構築して、有用性を検証するとしている。ドコモによると、商用の5Gサービスとクラウドサービスを活用して手術データのAI解析を行う実証実験は国内で初という。
具体的には、東京女子医科大学のスマート治療室(SCOT)で取得した高精細な手術映像を匿名化し、ドコモの5Gサービス、「ドコモオープンイノベーションクラウド」やJGNを介し、大容量・セキュリティを確保した通信により、はこだて未来大学に伝送する手術情報伝送基盤の構築を行う。
また、はこだて未来大学の AI技術(深層学習技術)を用いて匿名化された取得済みのデータを解析、遠隔地の熟練医が手術プロセスを確認し、手術支援を実施し有用性を検証する。さらに、手術情報のビッグデータ解析により、熟練医の手技や判断プロセスを可視化、患者の術後を予測する技術を開発し有効性の検証を行うとのことだ。
同実証実験を通じて三者は、医療機関をネットワークで接続して医療データをビッグデータとして蓄積し、AIを効率よく活用できる環境を構築することで、遠隔地での高度医療支援を行ったり、高度医療に関する手術情報をネットワークにより取得可能な環境を提供したりすることにより、自然災害時や新型コロナウイルスなど感染症発生時などに効果的な遠隔地での治療や情報提供を行える高度医療ネットワーク基盤の実現を目指すとしている。