琉球大学は11月5日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化を防ぐ薬の開発を行うことを目的に、すでに痛風治療薬として薬事承認を取得している薬剤のCOVID-19への効果検証を目的とした医師主導治験を開始することを発表した。
今回の取り組みは、同大大学院医学研究科 感染症・呼吸器・消化器内科学講座の金城武士 助教、同臨床薬理学講座の植田真一郎 教授、琉球大学病院臨床研究教育管理センターの池原由美 助教らを中心とする研究グループと横浜市立大学大学院データサイエンス研究科長の山中竹春 教授らによる共同研究となる。
現在、新型コロナの治療は、抗ウイルス薬と抗炎症薬の併用によって行われている。酸素投与が必要(中等症II)、または人工呼吸器での管理が必要(重症)の場合、抗ウイルス薬「レムデシビル」と、抗炎症薬「デキサメタゾン」がすでに薬事承認されているものの、重症化するリスク因子を持っている軽症者や、肺炎はあるが酸素投与は必要ではない中等症Iの患者に向けた治療薬はまだ承認されたものがない。抗ウイルス薬としては、「ファビピラビル」の承認申請が10月に行われ、11月初頭時点では結果待ちの状態となっているが、抗炎症薬に関してはまだ薬剤がない状態である。今回実施される治験は、この軽症から中等症Iに対する抗炎症薬として、痛風治療薬「コルヒチン」の有用性を確認しようというものだという。
具体的な治験の実施スケジュールは、2021年1月~同5月を予定しており、沖縄県のほか、東京都や埼玉県など約10の医療機関に入院する中等症および軽症ながら重症化因子を有する約100名の新型コロナ患者を対象に、コルヒチンを初日1.5mgまたはプラセボ、翌日以降は0.5mgのコルヒチンまたはプラセボを1日1回4週間経口投与したときの血液中の炎症反応の様子を比較する予定だという。
なお、研究グループでは、今回の治験で得た結果のほか、外国で実施されているコルヒチンの新型コロナに対する臨床試験の結果なども踏まえ、効果が確認されれば、新型コロナの治療薬として申請したいとしている。