カルテックと日本大学医学部は共同で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する光触媒(酸化チタン)の有効性実験を行った結果、感染力抑制効果を確認したと発表した。
同実験に用いられた光触媒はカルテックの提供によるもので、3cm角の光触媒に新型コロナウイルス液を2ml滴下して、光触媒反応の励起光となるLEDを照射。照射時間ごとにウイルス力価を測定し、不活化の有効性と時間依存性を調べるという形で評価が行われた。その結果、光触媒反応によってウイルスの感染性が減少し、120分の照射で検出限界以下となり、ウイルスの不活化を確認したという。
また、光触媒の有効性について実生活への応用を検証するため、その足掛かりとなる実験として、光触媒を搭載した除菌脱臭機を用いて、120リットルの密閉型チャンバー内にて浮遊する新型コロナウイルスに対する有効性実験を行ったところ、回収したウイルス力価が検出限界以下であることも確認したことも併せて発表した。
この実験に用いられた除菌脱臭機はカルテック製で、密閉型チャンバー内にエアロゾル化した新型コロナウイルスを噴霧、チャンバー内に設置した光触媒搭載の除菌脱臭機を稼働させ、稼働時間ごとにウイルスを回収し、ウイルス感染価を確認する形で評価が行われた。その結果、除菌脱臭機を20分稼働した場合に回収したウイルス力価が検出限界以下となったことを確認したという。
さらに研究チームでは、光触媒による新型コロナウイルスの不活化の作用機序についても、光触媒が発生する活性酸素がウイルス表面のスパイクたんぱく質の分解やRNAを損傷を引き起こした可能性が示唆される結果を得たとしており、この詳細については改めて論文として発表する予定であるとしている。
なお、研究チームでは、今回の実験結果は一定の密閉空間内でのものであり、実使用環境での効果を示すものではないとしており、今後も継続して光触媒技術を活用した研究を継続し、製品へとその技術を適用していきたいとしている。