IDC Japanは10月8日、国内IoTセキュリティ市場2019年の実績と2020年~2024年の予測アップデートを発表した。これによると、国内IoTセキュリティ製品市場の前年比成長率は2019年の14.7%から2020年はマイナス5.4%に落ち込むと予測し、国内IoTセキュリティ製品市場の2019年~2024年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は3.6%となり、市場規模(売上額ベース)は2019年の836億5900万円から、2024年には997億4000万円になると予測している。
2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による景況感の減速により、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の一翼を担うIoTシステムの市場は、IoTデバイスの部材レベルでの影響や新規ビジネスへの影響が考えられ、2020年前半に大きく落ち込むことが予測されている。
IoTセキュリティ製品市場においても同様の影響を受けると予測しており、企業の生産活動と個人消費は低迷を続けるが、延期となった東京2020オリンピック・パラリンピックの開催と政府の景気刺激策により下支えされることで、2021年に経済成長率がプラスに転じ、経済活動がCOVID-19感染以前の水準に回復するのは2022年以降となると推測している。
2021年以降、国内経済状況は次第に回復していくと予測し、国内IoTセキュリティ製品市場の前年比成長率は2020年のマイナス5.4%から2021年3.9%、2022年7.8%と回復していくと想定している。
国内IT市場では、ITシステムでのランサムウェアによる被害や個人情報の流出、IoTデバイスを踏み台とするDDoS(Distributed Denial of Service)攻撃によるサービス停止など、数多くの事件が継続して発生しており、セキュリティ対策とインシデント発生時の対応が、企業や組織の経営や活動に影響を与えかねない状況にさらされている。
同社のソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである赤間健一氏は「IoTデバイス/IIoT(Industrial IoT)センサーはセキュリティを考慮した設計/開発を原則とし、IoTサプライヤーはセキュリティ対策をユーザーと連携して実施することが効果的である。IoTユーザーは、デバイスやセンサーで収集したデータの取り扱いに関し、規制やガイドラインに則する必要があり、セキュリティリスクだけでなく、コンプライアンスやデータガバナンスを考慮していくことが重要である」と述べている。