厚生労働省(厚労省)は10月2日開催の「第17回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」において、世界中で開発が進められている新型コロナウイルス向けワクチンが実用化された際の接種における費用を無料にする方針を提示、大筋で了承を得た。
公開された資料の中では、「新型コロナウイルス感染症に係るワクチンについては、生命・健康を損なうリスクの軽減や医療への負荷の軽減、さらには社会経済の安定につながることが期待されることから、令和3年前半までに全国民に提供できる数量を確保することを目指し、また、国民への円滑な接種を実施するため、国の主導のもと、身近な地域において接種が受けられる仕組みを含め、必要な体制を確保することとしている」と記載されており、今回のワクチンの接種は、国が全国的に実施する施策であり、全国民に提供できる数量のワクチンの確保や接種順位の決定など、国が主導的役割を担う必要があるとしている。
また、「国が市町村に対して接種を実施するよう指示し、接種勧奨を行い、接種を受ける努力義務も課すこととしている今回の接種事業に限っては、臨時接種とは別に新型コロナ感染症対策として特例的に、国が全額負担を行うこととしてはどうか」ともされており、臨時接種はまん延予防上緊急の必要時に実施するものであるため、被接種者から実費徴収は行わない(自己負担を求めない)が、今回の接種もまん延予防上緊急の必要性に基づき実施するものだとし、国民が円滑に接種を受けられるようにするため、特例的に実費徴収を行わないこととしてはどうかといった形で提言がなされている。
さらに、新型コロナウイルス感染症の予防接種においても、副反応疑い報告による情報収集や適正実施のために必要な措置を講じることが必要ともしており、高水準の救済給付とすることが適当ではないかとしている。
なお、新型コロナワクチンの開発は世界中で進められているものの、頭痛や疲労感などの副作用が一定数で見られるとされているほか、実際にどの程度の効果があるのか不透明なものが多く、ワクチンで実際に感染が防げるかどうかはわからないところもあるとしている。