Googleは9月8日(米国時間)、Android OSの最新バージョンとなる「Android 11」をリリースした。同社が開発しているスマートフォン「Pixelシリーズ」や、OnePlus、Xiaomi、OPPO、Realmeなどの端末を対象に、向こう数週間かけて配信していく。
このリリースに合わせて、Android Studioデベロップメントチームは公式ブログの同日のエントリ「Android Developers Blog: Turning it up to 11: Android 11 for developers」において、アプリ開発者におけるAndroid 11の魅力や、アプリのAndroid 11対応に向けたガイドを公開している。
Android 11は、「人」「コントロール」「プライバシー」の3つのテーマを中心に開発された。「人」は、人間を中心とした通信へのアプローチであり、「コントロール」はユーザーが迅速にデバイスのすべてをコントロールできることを目指す。そして「プライバシー」はユーザーがデバイス上のデータ共有を制御するより多くの手段を提供することだという。
これらのテーマの下、Android 11に追加された主な機能としては以下のようなものがある。
- 会話の通知: メッセージングアプリの通知をまとめて表示できる
- ふきだし(Bubble): 会話相手のアイコンを常時表示しておき、会話に迅速にアクセスできるようにする
- 入力候補の自動サジェスト: 純正キーボードにおいてチャットや会話の入力候補を提供する
- デバイスコントロール: 電源ボタンを長押しするだけでスマートデバイスの制御パネルが表示できる
- メディアコントロール: オーディオやビデオコンテンツの出力先デバイスをすばやく簡単に切り替えられる
- 1回限りの権限: デバイスへの権限の許可に対して、「今回だけ許可」という選択肢が追加された
- 権限の自動リセット: 長期間使用されていないアプリに対して、権限の許可が自動でリセットされる
- スコープストレージ: 外部ストレージ上のアプリとユーザーのデータの保護が改善された
- BiometricPrompt API: 機密部分にアクセスしたりロックを解除するためにアプリが必要とする生体認証の強度を指定できる
- 5Gサポートの強化: 5Gネットワークを活用するための開発者サポートが強化された
- 新しい画面タイプのサポート: ホールパンチ画面とウォーターフォール画面のサポートが追加された
アプリ開発者は、これらの機能を利用して自分のアプリを強化することができる。そのためには、まずアプリをAndroid 11に対応させることが必要だ。公式ブログのエントリでは、その第一歩に確認すべき主要な動作変更として、次の項目を挙げている。これらの動作変更はアプリのtargetSdkVersionに関係なく適用されるという。
- 1回限りの権限: ユーザーは位置情報、マイク、カメラへのアクセスに1回限りの権限を付加できるようになった
- 外部ストレージアクセス: アプリは、外部ストレージ内の他のアプリのファイルにアクセスできなくなる
- Scudo強化アロケーター: アプリのネイティブコードのヒープ割り当てにScudo強化アロケーターが使用されるようになった
- ファイル記述子サニタイザー: Android 10で導入されたfdsanがデフォルトで有効になり、ファイル記述子のオーナー権限の処理の誤りを検出できるようになった
開発者が注意するべきそのほかの変更点や新機能のAPIの使用方法については、次の公式ガイドを参照いただきたい。
Android 11では、上記のほかにアプリの開発をサポートするツールにもさまざまな拡張が加えられている。前述のように、まずはPixelシリーズおよびOnePlus、Xiaomi、OPPO、RealmeのスマートフォンがAndroid 11へのアップデートの対象となる。その他のメーカーの端末については、「今後数カ月でより多くのパートナーがデバイスをリリースおよびアップグレードする」とアナウンスされている。