新型コロナウイルスに対するワクチン開発を進めるアストラゼネカ、BioNTech、グラクソ・スミスクライン(GSK)、ジョンソン&ジョンソン、メルク、モデルナ、Novavax、ファイザー、およびサノフィの製薬大手9社は9月8日、共同で新型コロナ向けワクチンの開発に関し、ヒトに対する安全性の検証が最優先であるとの声明を発表した。

9社は共同声明として、以下の4つを挙げている。

  • ワクチンの接種を受けた人の安全と幸福を最優先事項とする
  • 科学的および倫理的な高い基準を遵守し、臨床試験や薬剤の製造を行う
  • 第3相臨床試験を通じて安全性と有効性が実証された後にのみ、規制当局に対して使用に関する承認申請を行う
  • 全世界で共通して利用可能な量の供給に向けた体制構築を進める

新型コロナに対するワクチンについては、一部の国では臨床試験が終わっていないにも関わらず自国産ワクチンの承認を進め、早期の大量生産体制を図ろうという動きを見せているほか、米国でも臨床試験終了前に条件付きでの使用許可(緊急使用認可)を出す可能性があるとされており、今回の製薬大手9社の共同声明は、こうした各国の動きに対し、ワクチンの安全性というもっとも重要な要素を重視するべきであると改めて掲げたものとなる。直近でも、複数の米国メディアがアストラゼネカが進めている新型コロナワクチンの第3相試験で英国の対象者に深刻な副作用が疑われる事例が発生し、米国での治験が中断されているといった報道がなされている。

なお、9社は共同で70を超える新規ワクチンの開発を進めており、一部のワクチンについては日本政府との間で、安全性と有効性が確認されることを前提とした供給契約が締結されている。