日本電気(NEC)とNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は8月28日、データセンター内の通信機械設備の空調におけるノンフロンの新冷媒を用いた冷却システムを開発し、共同実験において、空調消費電力を従来の冷却システムと比較して半減できることを実証したことを発表した。
両社が共同開発したのは、「相(気体液体)変化冷却技術」を利用した新低圧冷媒冷却システム。
従来の水冷システムより、熱交換性能が高い「相変化冷却システム」を導入することで、受熱性能を2倍以上に向上し、受熱部の小型化を実現したことで、天井高が低いフロアへの局所空調として既存の建物・設備への後付けでの導入が容易になったという。
今回、両社は配管内の気体と液体を分離することで冷媒蒸気の流れをスムーズにして低圧冷媒を大流量で流すことに成功したという。NTT Comの持つデータセンターの排熱ノウハウや温度管理技術を組み合わせることで、大型空調機相当の40kW冷却能力で消費電力を現行比半分以下に削減したということだ。
運用中のNTT Com データセンターにおける実証実験を行い、空調消費電力が半減できることや既存フロア、サーバルーム等への設置が容易であることを確認したという。
両社は、新冷媒(R1224yd)を使用した空冷空調機システムを実用化することは世界初だとし、消費電力を低減すると共に地球環境に配慮した冷却システムを実現するとしている。
なお、同システムは、2022年にNECでの事業化(製品化)を目指すという。まずはNTT Comは自社施設への導入検討を進め、将来的に両社は、通信設備のみならず病院や複合商業施設など大規模な冷却設備を必要とする顧客への提供を検討するという。
また、地球温暖化抑止効果をさらに高めるため、排出熱の2次利用を計画しているという。これにより、排出熱を活用した温水、発電、農業などへの活用など、環境・経済の両面で社会貢献に寄与するシステムを目指すとしている。