次に紹介された事例は、オフィス機器販売を手掛ける企業が展開したタイアップ記事とインリード動画広告を組み合わせた広告施策だ。
まず鵜山氏が紹介したのは、タイアップを閲読してから動画を視聴したユーザーのパフォーマンスの高さだ。動画のみ視聴したユーザーと比較すると、視聴完了率は45%、来訪率は20%も高く、2つの施策を組み合わせることによる相乗効果が生まれていたという。鵜山氏も「タイアップ記事に触れることで製品・サービスを認知して、動画広告に触れた際に最後まで見てみようという気分になっている。施策を複合的に捉えていくことが重要であり、より効率的なコミュニケーションが可能になっていくのではないか」と説明する。
さらに、顧客理解を深めるという観点では、個人情報と紐づかないCookieベースでユーザーのメディアでの行動履歴を時系列で分析し、フローを可視化することによって、ユーザーのインサイトをより深く理解できたのだという。具体的には、どのような記事を読んでタイアップ接触に至ったのか、その後にどのようなコンテンツに接触しているのかを分析することによって、広告施策がユーザーにどのような態度変容をもたらしたのかを把握することができるのだ。
「タイアップ記事でサービスへの理解を深めてもらったあとに、動画広告で記憶の定着をはかるというのが、今回の戦略の大きなポイントだった。結果的にこのサンプルでは、タイアップ記事に接触した1か月後にクライアントサイトを再来訪してより深い情報を取りに行っている」(鵜山氏)
鵜山氏によると、同社ではこのようなデータ分析を行うことによって、顧客理解やナーチャリングプロセスの設計をクライアントと一緒に行っているのだという。「重要なのは、タイアップ記事や広告に接触したユーザーが行動に変化を生み出せたかという点。情報を受け取って実際にクライアントのビジネスに近づいていったかを見ていきたいと考えている」(鵜山氏)。