Dropbox Japanは6月11日、オンラインで2020年事業戦略記者説明会を開催し、同 代表取締役社長の五十嵐光喜氏が説明を行った。

  • Dropbox Japan 代表取締役社長の五十嵐光喜氏

    Dropbox Japan 代表取締役社長の五十嵐光喜氏

まず、同氏は2019年の国内事業について「国内ホスティング環境の運用開始スマートワークスペースである『Dropbox Spaces』を提供開始した。また、流通・小売り・サービス業への導入が拡大したほか、積極的に働き方改革の啓発活動に取り組んだ」と振り返り、グローバルにおける収益は前年比19%増の16億6000万米ドル、有料ユーザーは同160万人増の1430万人となった。

  • グローバルの実績

    グローバルの実績

また、同社では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、優先度が高くなったIT戦略テーマについて昨年8月に実施した「IT投資動向調査2020」の設問テーマに合わせ調査を行い、昨年は9位だった「従業員の働き方改革」に関して、約3分の1の企業が優先度が高くなったと回答。

2位以下は従業員規模別で傾向が分かれ、5000人以上の企業においては「システムの性能や信頼性の向上」が2位、「事業継続計画や災害対策の強化」が3位となり、昨年は全体で2位だった「業務コストの削減」を上回り、規模が大きい企業ほどビジネスの円滑な継続のためにITを強化する傾向がある。

  • 新型コロナウイルスによる従業員の働き方改革が企業にとっては急務のようだ

    新型コロナウイルスによる従業員の働き方改革が企業にとっては急務のようだ

実際に同社でも3月以降、DropboxのPlusライセンスのトライアルユーザー数が25%増、Dropbox Businessのトライアルユーザー数は40%増、Dropbox Spacesの利用も60%増となり、Zoomとの連携機能の利用が20倍に拡大しているという。

  • Zoomとの連携機能の利用が急拡大したという

    Zoomとの連携機能の利用が急拡大したという

2020年の事業展望

このような状況を踏まえつつ、同社では2020年の「パートナービジネスの加速」「西日本事業の拡大」「新製品の投入」の3つの領域に注力していく方針を示している。

パートナービジネスの加速について五十嵐氏は「お客さまのニーズが飛躍的に拡大している」と述べており、新規案件をパートナーと協業して販売するとともに、ユーザーが使う日本独自のアプリケーションとの連携を拡充する。Registered、Select、Eliteの3つのティアに分類されるパートナープログラムのうち、SelectとElite無得パートナー支援を刷新し、人員の倍増、パートナー専任カスタマーサクセスを新設する方針だ。

  • パートナービジネスの概要

    パートナービジネスの概要

西日本事業の拡大に関しては、梅田駅前にオフィスを構え、密接な顧客支援、西日本におけるパートナーの拡大、製造業へのフォーカスに取り組む。

  • 西日本での取り組みの概要

    西日本での取り組みの概要

新製品の投入では、管理者機能の継続的な強化・追加を行う。データガバナンスの向上として、10年間変更履歴無制限保管(EVHアドオン)と法的ホールド(データガバナンスアドオン)の2つの機能をアドオンとして提供。これにより、チーム管理者は法的ホールド対象のメンバーが作成・変更した全コンテンツの表示とエクスポートが可能になる。

そして、すでに北米では提供している昨年買収したHellosignとの連携機能により、紙&ハンコ手続きの電子 化を進める。五十嵐氏は「押印のために出社する課題もあるが、われわれではユーザーがクラウドに保存しているドキュメントから電子サインをシームレスに利用できる。米国ではコロナ以前と比較して署名依頼数は3倍に増加している」と述べており、今後改めてアナウンスがあるようだ。

  • Hellosignとの連携のフロー

    Hellosignとの連携のフロー