DMG森精機とKDDIは5月21日、5Gを活用したデジタルファクトリーの実現に向けた共同検討、共同実験を開始した。両社は、製造業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するため、4月にDMG森精機伊賀事業所(三重県伊賀市)、7月に東京グローバルヘッドクォータ(東京都江東区)に5G環境を構築。2拠点で、高速・大容量、低遅延の特性を持つ5Gを用いて、顧客の生産性向上に貢献するソリューション開発を進めていく。

製造業界においては、変種変量・多品種少量生産の実現、生産性向上、スキルの標準化など、製造現場における課題は近年大きく変化しており、機械の高精度化・高効率化とともに製造現場の自動化に対するニーズが高まっているという。

一方、工作機械を使った切削時に発生する切りくずが稼働停止や加工不良の大きな要因になるなど、無人運転や夜間運転による自動化に対して課題があり、DMG森精機はこのような課題に対して、最先端のテクノロジーを駆使して課題解決や生産性の向上を行うデジタルファクトリー化を進めている。

実験では、工作機械内部のカメラ画像をもとに切りくずの堆積場所と堆積量をAIが推論し、洗浄経路を自動で生成計算することで切りくずを最適に除去するDMG森精機の新技術「AI切りくず除去ソリューション」に5Gを導入。5Gの高速・大容量という特徴を活かし、工作機内における大量の画像データの自動収集を加速させ、より高度なAI機能の実装の有効性を検証する。

  • 左からAI切くず除去ソリューション/画像認識、AI切くず除去ソリューション/自動洗浄ノズル

    左からAI切くず除去ソリューション/画像認識、AI切くず除去ソリューション/自動洗浄ノズル

2拠点の5Gを活用することで、工作機械内の画像だけでなく、各種センサ情報などの大容量データをリアルタイムに収集し、正確な状況の把握が可能となり、この情報を活用することで、機械性能を最大限に発揮するための技能向上ソリューションの開発を両社で目指す。

さらに、KDDIが有する5Gビジネスの開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」を活用し、製造現場における課題の深堀りや課題解決の検証を実施し、今後も両社は5Gを活用したデジタルファクトリーの実現に向けた取り組みを進めていく考えだ。